2002 Fiscal Year Annual Research Report
中国雲南のペー族を中心とするエスニシティの変動に関する人類学的研究
Project/Area Number |
13571026
|
Research Institution | National Museum of Ethnology |
Principal Investigator |
横山 廣子 国立民族学博物館, 民族社会研究部, 助教授 (30143324)
|
Keywords | エスニシティ / 中国西南部 / ペー族 / 歴史 / 民族 / アイデンティティ / 変動 / ミャンマー |
Research Abstract |
国内においては昨年度に引き続き、すでに収集し何らかの媒体によって記録してある文字資料の整理とコンピュータ入力を進めた。また国内で入手できる雲南の地方志資料の閲覧も続け、データとして重要なものについてはコンピュータ入力をした。雲南省レベルの通志については、時期の古いものからデータを収集してきたが、すでに清代末期の地方志の閲覧に入っており、平成15年度中頃までをめどに今回の研究に必要な資料の閲覧とデータ収集を終える予定である。国外での現地調査は中国雲南省とミャンマーにおいて実施し、インタヴューや観察による社会・文化的な調査に加え、石碑や地方志などの文字資料の収集もおこなった。本研究において中心的位置を占める雲南省大理のペー族に関する調査の成果は、1.絞りと藍染めの技術史と人々の民族意識の変化についてさらにデータを集め、いずれの面においても外部社会との関係が重要な役割を果たしたこと、2.この半世紀来の社会変化は、人々の生活全般において行政組織の影響力を強め、それが文化の領域においても顕在化してきていること、を明らかにしたことである。また、大理での調査期間中に開催された南詔大理歴史文化国際学術シンポジウム(雲南大学・大理白族自治州政府共催)に参加し、ペー族から漢族への歴史上のアイデンティティの変化に関する基調講演をするとともに、中国、アメリカ、オーストラリア、台湾などから参加した研究者と議論と情報交換をおこなった。 ミャンマーでは春節(旧正月)時期にマンダレー、チャウメー、ラシオ、ヤンゴンで調査し、昨年に続いて会館組織と移住と定着の歴史に関するデータを収集するとともに、中国系住民相互の社会関係のあり方、結び方を大きな年中行事を通して観察することができた。またペー族出身のある老人をインフォーマントとすることができ、ミャンマーの中国系社会におけるペー族の位置について洞察を深めた。
|