2003 Fiscal Year Annual Research Report
中国雲南のペー族を中心とするエスニシティの変動に関する人類学的研究
Project/Area Number |
13571026
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Research Institution | The Dynamics of Ethnicity among the Bai (Yunnan, China) and Surrounding Peoples |
Principal Investigator |
横山 廣子 国立民族学博物館, 民族社会研究部, 助教授 (30143324)
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Keywords | エスニシティ / 中国西南部 / ペー族 / 歴史 / 民族 / アイデンティティ / 変動 / ミャンマー |
Research Abstract |
中国雲南省については大理市と昆明市でペー族の調査を実施したほか、これまでに収集した文字資料の入力整理をおこなった。主な成果は、1.中華民国から新中国建国期に関するエスニシティの変動について、それまで「民族」という意識を持たなかった個人が「少数民族」の概念の出現によってその一集団として自らを位置づけていくプロセスを個人的体験のデータおよび同時期の民族をめぐる政治的社会的制度と思潮の変化に基づいて明らかにした。(成果の一部は「中国において『民族』概念が創りだしたもの」という論文に反映)。2.ペー族の文化変容に関して、現在進行中の国家による葬礼改革の農村部での実態を把握し、解放後の政治的変革と社会・経済的変化の流れの中にそれを位置づけて分析した。 ミャンマーでは従来に引き続きマンダレー、ヤンゴンで調査を実施したほか、かつては雲南からマンダレーに抜ける交通路において重要な位置を占めたバモーでも調査を実施した。主な成果は、1.3年間調査を継続してきた会館組織をてがかりとするミャンマーの中国系住民の移住と定着の歴史については、碑文など歴史資料と個人を対象とする聞き取り調査のデータを整理し、広東系、福建系、雲南系とその他の地域出身の人々に関して移住史を明らかにした。2.出身地域の異なる会館間の違いや会館組織の変化に関する分析、移民を受け入れたミャンマー社会の変動の歴史、さらにヤンゴン、マンダレーの二大都市と中国国境により近い都市という地理的な条件の違いの分析を移住史と連結させることにより、従来は体系的な研究文献がほとんどなかったミャンマーにおける。中国系住民の過去から現在までの展望を描くことができた。3.ミャンマーにおける中国系住民の全体状況の中で、雲南のペー族と同じ出自を有する人々がペー族というエスニシティをほとんど持つ機会なく雲南系住民の一部を構成してきた歴史が明らかになった。
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Research Products
(1 results)