2003 Fiscal Year Annual Research Report
子どもの虐待防止における非政府組織(NGO)の役割に関する国際比較調査研究
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13572007
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Research Institution | Kyoto Notre Dame University |
Principal Investigator |
桐野 由美子 京都ノートルダム女子大学, 人間文化学部, 教授 (20225105)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 洋明 名古屋市立大学, 人文社会学部, 助教授 (20201915)
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Keywords | 児童虐待防止 / NGO(非政府組織) / イギリス聞き取り調査 / 民間委託 / ファミリーサポート(家庭支援) / 調査・介入 / 治療プログラム / 国際比較調査 |
Research Abstract |
3年にわたる本研究の第3年目の本年度では第1に、イギリスにおける児童虐待防止非政府組織(NGO)ならびにその関連政府組織(GO)を対象とする聞き取り調査を実施した。その内訳は民間機関15件、行政機関8件であったが、3年間全聞き取り調査対象(米国・香港・イギリス)の総合計としては民間機関42件、行政機関21件に至った。 聞き取り調査結果として、(1)イギリスでは現在、ビクトリア・クリンビエ虐待死亡事件をきっかけに法律・ガイドラインを改正することにより地域、特に教育機関との連携強化に努めていること、(2)米国と比べて、イギリスにおける虐待防止活動の民間委託の割合は低いものであり、行政中心の活動が中心であること、(3)米国・日本では見られない点として、イギリスでは香港と同様に、限られたケース対象ではあるが、一民間機関(NSPCC)に虐待調査の権限を与えていること、などがあげられる。 第2に、平成14年度の質問紙調査結果を解析し、各国のNGOの活動状況を比較検討した。質問紙は各国1箇所ずつ54カ国に送付し、アジアおよび欧米を中心に14カ国からの回答を得た(回収率25.9%)。結果は以下の3点にまとめられる。 1.NGO活動に関する自己評価は「高」・「中」・「低」に大別できる。アジア諸国は「中」、いわゆる虐待防止先進国は「低」が多い。 2.虐待防止諸活動とNGOの活動分野の広がりをそれぞれ2つに分け、2×2の4分類とした。うち、役割分化が進みNGO活動分野も広いのがオーストラリア、ニュージーランドなどで、役割分化は進んでいるがNGOの活動分野は限定的なのは米国である、などの結果が出た。 3.今後の発展が望まれる虐待防止活動分野と、それへのNGOの貢献が望まれる分野について尋ねた。その結果を分類すると、「今後の発展が望まれる分野は多く、NGOの貢献への期待度は小さい」国が最も多かった。また、「今後の発展が望まれる分野とNGOの貢献への期待分野がずれている」国としてイギリス、オーストラリアが析出された。
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Research Products
(2 results)