2003 Fiscal Year Annual Research Report
WTO諸協定のもつ発展途上国へのイノベーションインパクト
Project/Area Number |
13572012
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Research Institution | National Graduate Institute for Policy Studies |
Principal Investigator |
大野 健一 政策研究大学院大学, 政策研究科, 教授 (40240684)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
畠中 薫里 政策研究大学院大学, 政策研究科, 助教授 (10265556)
山根 裕子 政策研究大学院大学, 政策研究科, 教授 (70200772)
長岡 貞男 一橋大学, イノベーションセンター, 教授 (00255952)
隅藏 康一 政策研究大学院大学, 政策研究科, 助教授 (80302793)
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Keywords | 特許権の保護範囲 / グローバリゼーションと知財保護 / 医薬品アクセス / 地域協力 / 知財の権利行使 / ライセンス契約と途上国 / 知財保護と投資 / 知財保護と公共利益 |
Research Abstract |
大野健一の経済開発理論を枠組として、プロジェクトメンバーは、次の研究をおこなった。 長岡貞男は、知的財産権が研究開発の誘因と効率性に与える影響、市場競争とライセンス契約、技術標準の利用と革新のための知的財産制度のあり方、研究開発生産性の決定要因、専有可能性などの需要要因と技術機会の供給要因の相関関係、イノベーションを担う個人への報酬制度のあり方。動的な効率性を促進する競争政策や通商政策のあり方について理論的探求と実証を試みた。 隅藏康一は、途上国におけるバイオ分野の研究開発の可能性と自国で医薬品や機能性食品を開発する方法を探究した。それに先立ち、当該分野に関し、いかなる特許制度を構築するか、とくにゲノムビジネスや医療における特許保護について,生命倫理関連の問題も含め研究した。 畠中薫里は、先進国と途上国での法執行確率の相違に着眼し、知的所有権に関する、差止めおよび損害賠償の執行確率の差異について理論的・実証的研究をした。「特許権の保護範囲をひろげれば、投資は高まる」というのが一般論であるが、執行確率が低い場合は、保護範囲の拡大によって投資を高めることができないことを理論的に証明したことがおもな成果である。さらに、この現象は、差止めの執行確率が低い場合に、より顕著に発生することも示した。 山根裕子は、途上国におけるTRIPS(知的財産権の貿易側面に関する)協定の実施状況とその産業的なインパクトについて、チリ・メキシコで現地調査をした。遺伝資源の保護、医薬品の開発・生産・流通問題が、この条約下にいかなる展開をみせているか、とくに中国で研究した。
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Research Products
(18 results)
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[Publications] 大野健一: "The Policy Package for Attracting a Critical Mass of Foreign Direct Investment in Vietnam"National Economics University-Hanoi Vietnam, Journal of Economics & Development. June 2003. 22-27 (2003)
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[Publications] 大野健一: "Coherent Thinking about Aid for Iraq"Japan Echo. August 2003. 34-35 (2003)
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[Publications] 大野健一: "Irak : Pour Une Aide Efficace Et Coherente(「イラク支援、理念を明確に」仏語)"Cahiers du Japon. Hiver(冬号). 14-16 (2003)
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[Publications] 大野健一: "The Lucky Country"Vietnam Economic Times. January 2004. 14-15 (2004)
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[Publications] 長岡貞男: "Deteminants of R&D and Its Productivity. Identifying Demand and Supply Channels (First revision)"IIR Working Paper. WP#03-12. (2003)
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[Publications] 長岡貞男: "Determinants of royalty terms : Evidence from technology import contracts of Japan"IIR Working Paper. WP#03-15. (2003)
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[Publications] 長岡貞男: "今後の研究開発と知的財産管理のあり方:三つの論点"IIRワーキングペーパー. WP#04-01. (2004)
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[Publications] 長岡貞男: "R&D and Market Value : Appropriability vs. Preemption"IIRワーキングペーパー. WP#04-03. (2004)
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[Publications] 山根裕子: "TRIPS協定と医薬品アクセス"貿易と関税. 第51巻9号. 50-60 (2003)
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[Publications] 山根裕子: "合併審査の国際比較-手続と実体法基準の関連性-"企業結合規則の再検討(日本経済法学会年報). 第24号. 48-74 (2003)
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[Publications] 山根裕子: "TRIPS協定"WTOハンドブック-新ラウンドの課題と展望-. 95-116 (2003)
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[Publications] 山根裕子: "[企業とEU法]知的財産と競争法(1)=EC法秩序における知的財産の位置付け="時の法令. 1707号. 48-56 (2004)
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[Publications] 山根裕子: "[企業とEU法]知的財産と競争法(2)=EC法秩序における知的財産権の位置付け="時の法令. 1708号. 49-57 (2004)
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[Publications] 隅藏康一: "医療行為と特許"現代医療. 35巻7号. 281-286 (2003)
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[Publications] 隅藏康一: "ゲノムビジネスの現状と課題"月刊保団連. No.786. 26-31 (2003)
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[Publications] 隅藏康一: "生命倫理と知的財産-人体由来試料の所有権に着目して-"日本知財学会第1回研究発表会予稿集. 141-144 (2003)
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[Publications] 畠中薫里: "司法環境・特許の保護範囲が投資に与える影響"知的財産制度とイノベーション. 337-368 (2003)
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[Publications] 清水, 畠中, 村松: "企業に対する制裁メカニズム:刑事法と民事法の比較の試み"インセンティブ設計の経済学. 227-262 (2004)