2003 Fiscal Year Annual Research Report
中国の国有企業改革に関する調査研究―所有制・グループ化及び企業統治を中心に―
Project/Area Number |
13572020
|
Research Institution | Obirin University |
Principal Investigator |
座間 紘一 桜美林大学, 経済学部, 教授 (30034870)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
任 雲 桜美林大学, 国際教育センター, 講師 (00337891)
小松 出 桜美林大学, 経済学部, 教授 (10162041)
金山 権 桜美林大学, 経営政策学部, 教授 (40296405)
|
Keywords | 中国 / 国有企業改革 / コーポレートガバナンス / 自動車産業 / 電力産業 / 所有と経営 / インサイダーコントロール / 政企分離 |
Research Abstract |
(1)今年度はサーズのため統一的な現地調査ができず、8月(任)、12月(小松)、2004年2月(座間・金山)と時期と地域を分けて行った。調査地域は湖北、上海、雲南、北京で、調査対象は8政府機関、13国有企業である。今年度調査は湖北、雲南では中部、南西部の実態解明、上海、北京ではこれまでの2度の調査の補充を目的とした。 (2)調査で得られた知見。湖北調査では地方政府が地方経済の発展と財政増収のために所管国有企業の民営化に強いインセンティブを持ち、従って民営化が予想以上に進んでいる状況、大量の資産流失、従業員利益の侵害、経済の長期的安定成長へのリスクの増大の実態を明らかにした。上海調査では、上海地域での国有企業集団化の過程と特徴、企業集団の組織的特徴およびその政策的背景を明らかにした。雲南調査では、地域の民営企業育成の困難、たばこ産業における独占的国有企業の政府と企業の関係、経営実態を明らかにし、北京調査では公有制を主体とする混合所有制経済の中身について新たな知見を得た。 (3)12月に3年間の研究をとりまとめ、相互交流を図るべく、研究参加者全員が集まり、桜美林大学で公開パネルディスカッション『中国国有企業はどうなるか』を開催し、報告と討論を行った。そこで得られた知見は、中国公有制企業の大幅な民営化は不可避であり、公有制企業の比重は大きく後退するだろう。だからといって国有企業が日本の特殊法人のような存在になるとは考えられない。国有企業改革は所有に基づく「公有制主体」原則から「会社=法人」原則への転換と考えられるが、しかし完全な転換ではなく、最後の砦としての「公有制主体」原則は崩されない。あくまでも「二元的原理」は貫徹する。とすればそこでのコーポレートガバナンスも二元的原理に基づくものにならざるを得ないだろう、ということである。
|
-
[Publications] 座間紘一: "中国国有企業はどうなるか-パネルディスカッションで得られたもの"産研通信 桜美林大学産業研究所. No.59. 4-8 (2004)
-
[Publications] 金山 権: "拡大する中国経済-成長戦略と問題点-"相模経済新聞. 2003.1.1. 11 (2003)
-
[Publications] 金山 権: "中国国有企業改革と当面する課題-「苦境脱出3ヶ年計画」を中心に-"経営学論集 日本経営学会. No.73. 244-245 (2003)
-
[Publications] 金山 権: "中国国有企業改革の一考察-現地調査を踏えて(1)-"産研通信 桜美林大学産業研究所. No.58. 11-13 (2003)
-
[Publications] 金山 権: "中国のWTO加盟後の経済と企業"東アジア文化総合研究報告書. 第3集. 40-53 (2004)
-
[Publications] 任 雲: "中国における民営化ブームの成因"産研通信 桜美林大学産業研究所. No.58. 14-18 (2003)
-
[Publications] 金山 権: "中国国有企業改革の一考察-現地調査をふまえて(2)-"産研通信 桜美林大学産業研究所. No.59. 12-14 (2004)