通貨・金融危機後のアジア経済の再編成と構造変化およびその影響に関する実態調査研究

2002 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 13572021
• Research Institution: Musashi University
• Principal Investigator: 河村 哲二 武蔵大学, 経済学部, 教授 (20147010)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 王 東明 日本証券, 研究所, 研究員 ; 芹田 浩司 帝京大学, 経済学部, 専任講師 (50323457) ; 植村 高久 山口大学, 経済学部, 教授 (40168662) ; 苑 志佳 立正大学, 経済学部, 助教授 (00308123) ; 今東 博文 大阪市立大学, 経済研究所, 助教授 (60213237)
• Keywords: アジア通貨・金融危機 / 内陸部・沿海地域 / 日系企業 / 経済技術開発区 / 国有企業改革 / 金融制度改革 / IT産業 / 自動車産業 / 「世界の工場」

Research Abstract

本研究の目的は、通貨・金融危機後のアジア経済の再編過程を、各国・地域の経済構造改革の進捗状況、ならびにその域内および世界経済的影響を解明することにある。とりわけその問題を、危機後のアジア進出日系企業の企業戦略や経営実態の変容が、アジア経済再編に与える影響を軸としつつ分析・解明する。こうした研究目的を達成するため、2年目である本年度、最も中心的な研究活動として、8月18日〜30日に15名(うち、現地協力者1名)が参加し、中国の内陸部および沿海地域における金融・自動車・IT関係企業の実態調査を行った。武漢、重慶、福州、アモイ等地域において、金融関連で、武漢証券、重慶銀行協会、中国現地企業として、武漢鍋炉廠、長安汽車、重慶嘉陵、亜徳科技、南華中天、実達電脳、夏新電子、福耀グラス、日系・外資系企業として、武漢NEC、武漢川崎船用機械、福日テレビ、中華映管、信華科技、さらに武漢東湖新技術開発区、重慶経済技術開発区、福州経済技術開発区、武漢市政府、重慶市政府、福州経済技術開発区管理委員会などを訪問調査した。また、メンバー全員が集合した研究会を開催して研究を進めた。2003年3月には、3日間の合宿研究会を開催し集中的に中国調査の成果について総括的議論を行った。こうした本年度の調査・研究活動を通じ、以下の点が明らかになった。第1に、中国の制度改革が、WTO加盟等を含め一段と加速し、内陸部まで着実に行われている。第2に、金融面では、制度整備と金融・資本市場機能の拡充が進み、企業金融・国有企業改革との連携にかなりの進展がある。第3に、自動車・ITを中心とする中国の製造業の実力は、着実に向上し「世界の工場」となりつつある。第4に、日系や台湾系企業はアジア金融危機後、一段と中国シフトを強め、経営管理・技術水準の引き上げを図っている。第5に、中国は、内陸部と沿海部格差やマクロ経済的問題を抱えつつも、世界経済動向に対し存在感を一段と強めている。こうした点は、来年度の研究活動を通じ、東南アジア地域との比較も含め、より深い解明を要することが確認された。

Research Products

• [Publications] 河村 哲二: "1990年代の『持続的好況』の特徴と問題点-戦後パックス・アメリカーナ経済システムの転換と『ニューエコノミー』"経済理論学会『年報』. 第39集. (2002)
• [Publications] 苑 志佳: "台湾半導体産業の形成過程における政府の役割"立正大学『経済学季報』. 第51巻第2号. 77-107 (2002)
• [Publications] 苑 志佳: "中国における日本的経営手法の導入と普及"財団法人 産業研究所 『機械産業等の産業活動に関する調査研究』. No13-8. 29-57 (2002)
• [Publications] 植村高久: "(書評)加茂川益郎著『国民国家と資本主義』(2000年)"『経済学論集』(東京大学). 68・2. 91-94 (2002)
• [Publications] 河村哲二: "パックス・アメリカーナ全盛期のアメリカ経済"アメリカ学会『アメリカ研究』. 第37号. 23-43 (2003)
• [Publications] 王 東明: "中国株式市場の形成と国有企業改革"『証研レポート』(日本証券経済研究所). No.1605. 1-8 (2002)
• [Publications] 王 東明: "中国株式市場の問題点について"『証研レポート』(日本証券経済研究所). No.1616. 1-13 (2003)
• [Publications] 河村 哲二: "現代アメリカ経済"有斐閣(刊行予定). 410 (2003)
• [Publications] 河村 哲二(共著): "グローバル資本主義と世界編成・国民国家システム世界経済の構造と動態"御茶の水書房(予定). 331 (2003)
• [Publications] 芹田浩司他: "グローバル資本主義と国民国家システム(第7章)"御茶ノ水書房(予定). 331 (2003)
• [Publications] 今東博文(共著): "東アジア市場経済-多様性と可能性"御茶ノ水書房. 427 (2003)
• [Publications] 王 東明(共著): "コーポレート・ガパナンスの社会的視座"日本経済評論社. 250 (2002)
• [Publications] 苑 志佳(共著): "東アジア市場経済-多様性と可能性"御茶ノ水書房. 427 (2003)
• [Publications] 王 東明(共著): "アメリカ型企業ガバナンス-構造と国際的インパクト-"東京大学出版会. 249 (2002)