2002 Fiscal Year Annual Research Report
ブラジル・パンタナールにおける熱帯湿原の持続的開発と環境保全
Project/Area Number |
13572037
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
丸山 浩明 横浜国立大学, 教育人間科学部, 助教授 (50219573)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
仁平 尊明 筑波大学, 地球科学系, 助手 (60344868)
宮岡 邦任 三重大学, 教育学部, 助教授 (70296234)
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Keywords | パンタナール / ブラジル / 湿地 / 持続的開発 / ビオトープ / エコツーリズム / 環境犯罪法 / スポーツフィッシング |
Research Abstract |
今年度の研究成果は、以下のようである。 1.パンタナール・ニェコランディア地区のバイアボニータ農場(面積1760ha)を事例に、前年度検出した17のビオトープタイプの空間分布を、携帯型GPSのマッピング機能を利用して調査し、環境保全策の立案に不可欠な詳細なビオトープマップを完成させた。また、地形測量を行い、微地形とビオトープタイプ分布の対応関係を分析した。その結果、ビオトープタイプ分布は、地形起伏に起因する浸水条件の地域差と密接に対応していることが判明した。 2.雨季と乾季に河川水・湖沼水・地下水の測水調査と採水を実施した。採水した水試料は、溶存イオンおよび酸素・水素安定同位体分析を行った。また、地下水面と地表水の水位差を明らかにするために、複数の測線を設定して地形測量を実施した。その結果、水質濃度が低く河川水の影響を強く受ける地域の地下水は、起源として河川水の成分を多く含んでいるが、水質濃度が高く河川水の影響が少ない地域の地下水は、一般に被圧されており、古海水を起源にもつことが示唆された。本地域の地下水は、河川水と深層系地下水の混合の度合いにより水質が決定・形成されていると考えられる。 3.パンタナール縦断道路の整備や宿泊施設(エコロッジ・ホテル・釣り宿など)の建設により、観光客が容易に湿原内部を訪問できるようになった北パンタナールでは、1980年代後半〜1990年代にかけて多様なエコツーリズムが進展した。他方、道路整備が遅れ、広大な浸水域を内包する南パンタナールでは、豊富な水産資源に依存したスポーツフィッシングが発展した。しかし、急速なエコツーリズムの進展は、野生動物の殺傷、植生破壊、野火、水質汚染、ゴミの散乱、漁獲資源の枯渇といった多様かつ深刻な環境問題をパンタナール全域に引き起こしている。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 丸山 浩明: "パンタナールの自然と開発"地理月報. 471. 4-6 (2002)
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[Publications] 丸山 浩明, 仁平 尊明: "ブラジル・パンタナールにおける熱帯湿原の持続的開発と環境保全(3)南パンタナール,ファゼンダ,バイアボニータのビオトープタイプ分布"日本地理学会発表要旨集. 62. 157 (2002)
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[Publications] 宮岡 邦任, 尾方 隆幸: "ブラジル・パンタナールにおける熱帯湿原の持続的開発と環境保全(5)水質の季節変化から推定される地下水流動"日本地理学会発表要旨集. 62. 159 (2002)
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[Publications] 仁平 尊明, 丸山 浩明: "ブラジル・パンタナールにおける熱帯湿原の持続的開発と環境保全(6)北パンタナールのエコツーリズム"日本地理学会発表要旨集. 62. 160 (2002)
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[Publications] 仁平 尊明, 丸山 浩明: "ブラジル・パンタナールにおける熱帯湿原の持続的開発と環境保全(7)北パンタナールにおける農家民宿とホテルの経営"日本地理学会発表要旨集. 63. 181 (2003)
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[Publications] 丸山 浩明, 仁平 尊明: "ブラジル・パンタナールにおける熱帯湿原の持続的開発と環境保全(8)南パンタナールにおけるエコツーリズムの発展とその課題"日本地理学会発表要旨集. 63. 182 (2003)