2002 Fiscal Year Annual Research Report
北オーストラリア熱帯域の巨大孤立積乱雲(ヘクター)の国際共同観測
Project/Area Number |
13573005
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
津田 敏隆 京都大学, 宙空電波科学研究センター, 教授 (30115886)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀之内 武 京都大学, 宙空電波科学研究センター, 助手 (50314266)
中村 卓司 京都大学, 宙空電波科学研究センター, 助教授 (40217857)
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Keywords | 大気重力波 / 積乱雲 / ラジオゾンデ / ヘクター / 積雲対流 / SPARC / DAWEX / 北オーストラリア |
Research Abstract |
熱帯域での積雲対流による大気波動の励起・伝搬特性を解明するために、2001年10-12月に北オーストラリアのDarwin周辺で、DAWEX(Darwin Area Wave Experiemnt)と呼ばれる国際協同観測を実施した。この地域ではpre-monsoonからmonsoon-onset季に孤立型巨大積乱雲、(Hector)が起こる。DAWEX期間中にオーストラリア気象庁(BOM)、Adelaide大や米国の研究者により2台のC帯2重偏波ドップラーレーダーをはじめ、ST・境界層・MFレーダーやCCDイメージャが運用された。我々は各月に5日間のラジオゾンデ集中観測を実施した。Tiwi諸島(Garden Point)、Darwin気象観測所、Katherine空港の3観測点から3時間毎に40回の放球を繰り返し、合計約360の風速・温湿度プロファイルを得た。今年度は国際共同でデータ解析を推進し、結果をインターネットで交換している。成果は以下の通りである。 (1)DAWEX期間中にヘクターをはじめ強大な積乱雲が多数現れた。C帯レーダー観測によると、これらの雲頂はときに対流圏界面を突き破って高度20km以上に到達していた。 (2)対流圏界面付近の高度13-20kmに約84時間周期の大規模波動が、東西・南北風の両成分に検出された。3つの観測点でほぼ同時にしかも10、11、12月に共通して現れた。赤道波の一種ではないかと思われる。 (3)大気重力波について、鉛直波長約3km以下の擾乱成分による波動エネルギーが高度15-20kmと25-30kmでは増大していたが、高度20-25kmでは波動エネルギ-が極端に小さくなっていた。重力波と平均風との相互作用(Critical level)による波動減衰では説明できないことが判明したので、新たなメカニズムを考える必要がある。
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