2002 Fiscal Year Annual Research Report
黄海における溶存物質の除去に果たす海洋光化学反応の役割
Project/Area Number |
13574016
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
大田 啓一 名古屋大学, 地球水循環研究センター, 助教授 (80022250)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹田 一彦 広島大学, 総合科学部, 助教授 (00236465)
佐久川 弘 広島大学, 総合科学部, 教授 (80263630)
石坂 隆 名古屋大学, 地球水循環研究センター, 助教授 (50022710)
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Keywords | 黄海 / 光化学反応 / 海洋観察 / 溶存腐植物質 / 溶存気体 / 除去過程 |
Research Abstract |
河川を経由して、あるいは沿岸からの直接排出によって、黄海に負荷された自然および人工陸起源物質の除去における光化学反応の役割を明らかにするために、以下の研究を行った。 (1)人工衛星からの海色モニタリング 人工衛星(センサー: Sea WiFS)から得られるデータのうち腐植物質(主波長443nm)に相当する海色データを収集し、季節変化を解析した。典型的な陸起源物質である腐植物質濃度は沿岸域と渤海および長江河口域で高く、また冬に比べて夏に低くなり、沿岸域に供給される腐植物質が拡散しつつ、特に夏季に活発に分解・除去される可能性を示唆した。 (2)黄海の海洋観測 韓国海洋研究院所属の研究船Eardo号を借上げて、平成14年8月中旬(4日間)に黄海の観測を行った。観測船は沿岸と沖合いに2本設け、海洋物理パラメーターを測定しつつ海水サンプリングを行い、船上で気体成分(一酸化水素、水素、メタン、硫化物)、過酸化水素、有機過酸を定量した。海水試料はさらにろ過し、研究室へ持帰って溶存腐植物質を定量した。腐植物質濃度の水平分布は人工衛星からの分布パターンをよくシーツルースしており、また複数地点での夏季(8月)と秋季(昨年度の観測結果、10月末)との比較から、夏季においては平均的に20%の濃度低下がもたらされることが示された。このことは、一酸化炭素や過酸化水素の分布とも調和的であり、溶存物質が黄海において光化学的に分解・除去されていく過程が確認された。
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