2002 Fiscal Year Annual Research Report
ベトナムにおける攪乱をうけたマングローブ林の更新動態の分子集団遺伝学的研究
Project/Area Number |
13575001
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
舘田 英典 九州大学, 大学院・理学研究院, 教授 (70216985)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
二宮 生夫 愛媛大学, 農学部, 助教授 (80172732)
原田 光 愛媛大学, 農学部, 教授 (40150396)
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Keywords | マングローブ / 枯葉剤 / 遺伝的変異 / 天然更新 / 分子集団遺伝学 / 地理的構造 / ベトナム / 国際研究者交流 |
Research Abstract |
マングローブは熱帯、亜熱帯の感潮帯に生育する樹木群で、その森林面積は世界全体で2億ヘクタールを占めるとされる。本調査ではベトナム戦争による攪乱後、天然更新によって回復しつつあるベトナムののマングローブ林において、その生態系の構造を調べ、更に分子集団遺伝学的方法を用いて構成樹木集団の遺伝的変異を解析し、環境適応の様子と、更新の動態を解明する。これにより、天然更新のメカニズムを最大限に利用したマングローブ林生態系の再生修復の方法を検討している。 1.生態生理学的研究 昨年度、北部ベトナム紅河デルタ内のNamDinh地域に設定した生態観察プロットで、昨年に引き続き、樹種、直径、樹高の毎木調査を実施するともに、3ケ所での炭素、窒素などの定量分析をおこなった。林齢、潮汐頻度、種組成などの各要因と、現存量、養分蓄積量との関係を比較検討し、マングローブ林の更新動態解析を継続している。また各樹種の生態生理特性についても解析中である。 2.DNAの抽出と遺伝的変異の解析 南部、中部、北部での標本採集を行いDNAの抽出を行った。得られたDNAを使って南部、北部の集団については3種(Kandelia candel、Avicenia maria, Luminitzera racemos)で葉緑体にコードされるMatKを含む領域(全長3kb)の配列決定を既に終えた。現在このデータを解析中である。中部の集団についても塩基配列決定を行う予定である。またAviceniaについてはAFLPを使って核の遺伝的変異についても調査し、現在そのデータを解析中である。理諭的研究として集団サイズの変動がある場合での遺伝的多様性について解析を行い、集団の有効サイズと遺伝的変異の関係を明らかにした。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] M.lizuka, H.Tachida, H.Matsuda: "Neutral Model under Random Environments"Genetics. 161. 381-388 (2002)
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[Publications] T.Kado, H.Yoshimaru, Y.Tsumura, H.Tachida: "DNA variation in a conifer tree, Cryptomeria japonica(Cupressaceae sensulato)"Genetics. (発売予定). (2003)