2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13575003
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Research Institution | Ishinomaki Senshu University |
Principal Investigator |
玉手 英利 石巻専修大学, 理工学部, 教授 (90163675)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 英勝 石巻専修大学, 理工学部, 助手 (80306068)
柴田 清孝 石巻専修大学, 理工学部, 講師 (20244973)
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Keywords | 野生動物 / 遺伝的多様性 / 遺伝子分析 / 中国 / 絶滅危惧種 |
Research Abstract |
目的:本研究では、中国に生息するトキの遺伝的多様性の現状を明らかにして、近交弱勢を回避する交配システムを確立することを日標とした。平成13年度は、まずサンプル採集とトキで適用可能な遺伝子マーカーの検討をおこなった。 結果と考察:トキは中国政府が最も重視する絶滅危惧種であり、その研究は国家的統制のもとに行われている。そのため、本研究の開始にあたって先ず。日本と中国の研究者間で、共同研究に関する協定書を締結した(平成13年6月)。次いで、中国側の共同研究者(李、魏、丁)が、陜西省洋県のトキ保護区での現地調査と血液サンプルの採取をおこなった。また、北京動物園の飼育個体からも採血をおこない、両地区で合わせて42個体からの遺伝子試料を採取した。中国科学院北京動物学研究所においてDNA抽出と遺伝子増幅をおこなった。その結果、ミトコンドリアのコントロール領域では、鳥類の共通プライマーを用いることで遺伝子増幅産物がえられることが確認された。しかし、そのほかの遺伝子領域については、既存のプライマーでは、遺伝子増幅が困難であった。2個体についてコントロール領域の全塩基配列を決定して他種との系統関係を調査したところ、データベースにある配列中では、ブロンズトキに最も近いことが明らかになった。ミトコンドリア遺伝子以外のマーカーとしてAFLPを用いた分析も試みたが、DNAを多く必要とする短所のために、必ずしも有効ではないことが明らかになった。したがって、今年度は、主にミトコンドリアDNAについて、集団内の変異を検出するための遺伝子解析を継続した。平成14年3月に北京において研究会議を開催して、平成13年度の研究総括と、次年度以降の研究計画の再検討をおこなった。
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