Research Abstract |
○本年度はパキスタンならびに中国の内蒙古自治区,新彊省,ならびに麻黄栽培の中心地である寧夏自治区において現地調査を行なった. ○パキスタンへは6月28日〜7月13日迄,日本から御影,高橋,2名が赴き,現地ではパキスタン大学客員教授の津田喜典金沢大学名誉教授の案内で北部のノーザンエリアを調査し,18か所で50点の資料を採集した.同時期,7月6日〜8月3日,代表者が指導する大学院生の隆長鋒君を単独新彊省へ派遣し,重慶市中薬研究院の鐘國躍院長他2名のスタッフとともにジープを借り上げて現地調査を行なった.また,代表者の御影と協力者2名(うち1名はCOE経費)は7月29日に重慶市へ行き,先述の隆長鋒君と合流し,鐘國躍院長らから調査報告結果を受けた.その後北京へ行き,8月12日まで,北京大学の蔡少青教授の協力のもと,マイクロバスを借り上げ,内蒙古自治区で現地調査した.また,9月8日〜9月15日には御影と協力者1名(COE経費)が寧夏自治区とその近辺へ赴き,主として麻黄栽培地の調査を行なった. 以上の調査では目的とした多数のマオウ属植物調査採集した.採集地では,採集地の緯度経度,標高等を記録するとともに,DNA解析用の資料蒐集をも行なった.また,必要に応じて,聞き取りによる資源状況の調査や,とくに,寧夏自治区では,栽培地に生える雑草の調査をも行なった. ○本年度の調査で明らかになったことは,パキスタンにはマオウ資源がまだ豊富にあること,中国においては,マオウ属植物は海岸線にも生育していること,麻黄栽培においては雑草対策と灌水対策が今後解決されるべき問題点であることなどが明らかになった. ○帰国後,これまでに蒐集した資料を用いて,植物分類学的,組織分類学的,成分化学的,分子生物学的研究に着手した.また,増殖研究や耐塩性の試験など,栽培研究も開始した.
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