2001 Fiscal Year Annual Research Report
モンスーンアジアの気候変動と地球温暖化が稲生産に与える影響の評価・予測研究
Project/Area Number |
13575018
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
堀江 武 京都大学, 農学研究科, 教授 (90181528)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大西 政夫 島根大学, 生物資源科学部, 助教授 (80185339)
井上 吉雄 独立行政法人, 農業環境技術研究所地球環境部, 研究室長
林 陽生 独立行政法人, 農業環境技術研究所地球環境部, 部長
中川 博視 島根大学, 農学研究科, 助手 (90207738)
白岩 立彦 京都大学, 農学研究科, 助教授 (30154363)
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Keywords | 気象変動 / イネ / モンスーンアジア / 温暖化 / 天水田稲作 / 灌漑稲作 / 生産変動 / 収量変動 |
Research Abstract |
1.モンスーンアジアの気候とイネ収量変動のデータベース化と統計解析 タイ・ラオス・中国・フィリッピンを対象に、過去20〜30年の気象とイネ収量のデータを収集し、データベース化を行った。さらに、それらのデータの統計解析から次のことを明らかにした。すなわち、タイの雨季作、乾季作イネ生産量は、地域によりそれぞれ6〜25%および11〜82%の範囲で大きく変動しており、特に灌漑栽培の乾季作でそれが大きいことがわかった。その一方で、天水田雨季作地域の生産変動が20年前よりも小さくなっていることが注目された。これらの生産変動をもたらす要因として、作付面積の年次変動が概して大きく、次いで収量のそれが大きかった。さらに、天水田地域では、5〜9月の雨量の変動が作付面積を介して生産量の変動をもたらすこと、そして灌漑乾季作地域では前年の8〜12月の雨量が作付面積、生産量の変動要因となっていることがわかった。このように、タイでは雨量の年次変動が作付面積と生産量を大きく変動させていることが明らかになった。フィリッピンでは最低気温が上昇傾向にあり、それが近年の収量停滞の一因になっていると推察された。 2.イネ収量の気象的予測モデルの開発 気象とイネ生育収量との関係を予測するシミュレーションモデルの開発を、種々の条件下で栽培したイネの生育データを用いて進めた。今年度は、気温、日長と発育および窒素栄養と生長との関係のサブモデルを構築し、その有効性を明らかにした。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 堀江 武: "深刻化する世界の食料・環境問題"研究ジャーナル. 24・10. 3-4 (2001)
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[Publications] 中川 博視: "温暖化による稲収量と栽培地の変化"研究ジャーナル. 24・10. 14-22 (2001)
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[Publications] 林 陽生: "温暖化はわが国の農林業にどのような影響を及ぼすか-最近の研究から-"研究ジャーナル. 24・10. 5-13 (2001)
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[Publications] Homma, K.: "Quantifying the toposequential distribution of environmental resources and its relationship with rice productivity"ACIAR Proc.. 101. 281-291 (2001)
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[Publications] Matsui, T.: "The difference in sterility due to high temperature during flowering period among Japonica -rice varieties"Plant Prod. Sci.. 4. 90-93 (2001)
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[Publications] 佐々木 良治: "水稲稈長の年次変動とそれに関する要因"日作紀. 70. 489-498 (2001)