2003 Fiscal Year Annual Research Report
モンスーンアジアの気候変動と地球温暖化が稲生産に与える影響の評価・予測研究
Project/Area Number |
13575018
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
堀江 武 京都大学, 農学研究科, 教授 (90181528)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白岩 立彦 京都大学, 農学研究科, 助教授 (30154363)
横沢 正幸 独立行政法人農業環境技術研究所, 地球環境部, 主任研究官
林 陽生 独立行政法人農業環境技術研究所, 地球環境部, 部長
松井 勤 京都大学, 農学研究科, 助手 (70238939)
中川 博視 石川県農業短期大学, 生物生産学科, 講師 (90207738)
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Keywords | 水稲 / 温暖化 / 高CO_2 / 気候変動 / 高温不稔 / GCM / 収量 / 影響予測 |
Research Abstract |
1.水稲光合成のCO_2濃度反応の品種間差異の解明 高CO_2濃度・温暖化気候の生育への影響予測モデルに品種の効果を組み込んで、その改良を図る目的で代表的水稲品種のCO_2濃度-光合成反応の違いを実験室で調査した。光合成のCO_2濃度反応を支配する炭酸固定効率には極めて大きな品種間差異が認められ、タカナリやTR72などインド型品種でそれが高く、日本型の日本晴、竹成で低いことがわかった。 2.大気大循環モデルの温暖化予測気候のダウンスケーリング 大気CO_2濃度など温室効果ガス濃度の上昇に伴う気候変化は大気大循環モデル(GCM)によって予測されているが、それを水稲の生育・収量と結び付けるには、GCMの予測値の面積解像度が3°-6°の緯度-経度であって粗すぎる。そこで、より詳細な温暖化影響評価を可能にするため、GCMの予測気候値を10×10kmの解像度にダウンスケーリングする方法を開発した。この方法によって、ECHAM4/OPYC3(ドイツ)、CGCM1(カナダ)、CSIRO-MK2(オーストラリア)、CCSR/NIES(日本)の各GCMの予測気候値のダウンスケールを行い、データベース化した。 3.高CO_2濃度・温暖化気候の日本および中国の水稲収量への影響予測 水稲収量へのCO_2濃度と温度の複合影響を予測するモデルに、上に示した4つのGCMの予測気候値を入力し、大気CO_2濃度倍増時の気候が日本各地の水稲収量に及ぼす影響予測を行った。その結果予測される高CO_2濃度・温暖化気候の水稲収量への影響は用いたGCMにより異なり、カナダのGCMでマイナスの影響が最も大きく、日本のそれで小さいことが示された。これらを総合して、予測される温暖化気候は関東以北で増収と生産の安定化そしてそれ以南で減収と不安定化を招くと要約することができる。 中国南部の杭州について水稲の各作期別の温暖化影響予測を行った結果では、4月〜6月の植付け時期の水稲で高温不稔の発生により著しく減収することが示された。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Nakagawa, H.: "Effects of climate change on rice production and adaptative technologies"Proc.Internat. Rice Res.Conf.2002. 635-658 (2003)
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[Publications] Yokozawa, M.: "Mesh climate data for evaluating climate change impacts in Japan under gradually increasing atmospheric CO_2 concentration"J.Agric.Meteor.. 59・2. 117-130 (2003)
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[Publications] Tao, F.: "Changes in agricultural water demands and soil moisture in China over the last half century and their effects on agricultural production"Agric. and Forest Meteor.. 118. 251-261 (2003)
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[Publications] Homma, K.: "Toposequential variation in soil ferfilils and rice productivits of lowland paddy fields in mini-watershed (Nong) in Northeast Thailand"Plant Prod.Sci.. 6・3. 147-153 (2003)
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[Publications] 中川 博視: "水稲個葉光合成の光・CO_2濃度反応の品種間差異"日本作物学会紀事. 72・別2. 174-175 (2003)
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[Publications] 小林 和広: "開花期の高温での水稲の受精および柱頭上の花粉数との関係"日本作物学会紀事. 72・別2. 234-235 (2003)
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[Publications] 中川 博視: "水稲栽培への影響"地球温暖化と日本(原沢英夫ら編)、古今書院. 142-148 (2003)