2002 Fiscal Year Annual Research Report
導管水同位体解析から評価した天水田イネの水資源獲得様式
Project/Area Number |
13575019
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
河野 恭廣 中部大学, 応用生物学部, 教授 (90023407)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢野 勝也 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 助手 (00283424)
山内 章 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 教授 (30230303)
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Keywords | 降水 / 国際研究者交流 / 深根 / 水素安定同位体 / ザンビア / 地下水 / 導管液 / バングラデシュ |
Research Abstract |
天水田に依存した作物生産の低収量・不安定要因は、ほとんどが水の問題に起因する。特に、不透水土である硬盤層の存在が下層から作土への連続した水移動に大きな抵抗を示し、硬盤層の下層土壌が比較的高い水分を保持しているにもかかわらず、乾期に作土層が著しく乾燥する現象が知られている。本研究は、硬盤層下層に存在する水分の獲得能に優れる作物個体・系統をフィールドで探索するための方法論を確立すること、そして下層に存在する水分の獲得能を発揮させるための作物の形態的・生理的基盤に関する知見を得ることを目的とする。 ザンビアにおける調査では、地下水と降水の水素同位体自然存在比(δD値)を解析した結果、地下水のδD値は季節変動がなくほぼ一定の値で推移するのに対して、降水のδD値は大きな変動を示すことを確かめた。さらに、栽培作物から導管水を採取してδD値を解析した結果、導管水δD値の変動には降水の影響が認められる一方で、作物体が降水だけでなく地下水も吸収していること、しかも個体によって地下水に対する依存度が異なることを明らかにした。この結果は、作物導管水のδD値を周辺の環境水のδD値と比較することで、その個体の深層水利用能を評価できることを示唆する。 バングラデッシュ北西部Rajshahiにある天水田において、硬盤層上層および下層からそれぞれ水サンプルを採取した。各サンプルのδD値を解析したところ、硬盤層上層と下層とではδD値が有意に異なることを初めて確認できた。さらに、乾燥が進行するにつれて、硬盤層上層では土壌含水比が著しく低下するのに対して、硬盤層下層における土壌含水比はほとんど変化していなかった。これらの結果は、土壌中の水移動に対して硬盤層が大きな抵抗因子として作用すること、その抵抗がδD値の変動をもたらすことを意味し、作物導管水のδD値解析を適用可能であることを示唆する。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 関谷信人: "水素の安定同位体自然存在比から評価した植物が利用する水資源の由来"根の研究. 11・2. 35-42 (2002)
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[Publications] Rao, T.P.et al.: "Regulation of rhizosphere acidification by photosynthetic activity in cowpea (Vigna unguiculata L. Walp.) seedlings"Annals of Botany. 89・2. 213-220 (2002)
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[Publications] Sekiya, N. et al.: "Water acquisition from rainfall and groundwater by legume crops developing deep rooting systems determined with stable hydrogen isotope compositions of xylem waters"Field Crops Research. 78・2-3. 133-139 (2002)
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[Publications] Mitsuya, S. et al.: "Relationship between the distribution of Na and the damages caused by salinity in the leaves of rice seedlings grown under a saline condition"Plant Production Science. 5・4. 269-274 (2002)
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[Publications] McGonigle, TJP. et al.: "A capacity to stimulate phosphorus uptake by maize in undisturbed soil compared to disturbed soil is absent from some growth promoting arbuscular mycorrhizal fungi"Biology and Fertility of Soils. (in press).
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[Publications] 村瀬治比古: "ファイテクHow toみる・きく・はかる-植物環境計測-"養賢堂. 237 (2002)