2003 Fiscal Year Annual Research Report
先進諸国における木材の生産構造と生産技術の変化に関する調査研究
Project/Area Number |
13575022
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
餅田 治之 筑波大学, 農林学系, 教授 (80282317)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 幸男 岩手大学, 農学部, 助手 (90292177)
遠藤 日雄 鹿児島大学, 農学部, 教授 (50347085)
志賀 和人 筑波大学, 農林学系, 助教授 (70334034)
根本 昌彦 全国森林組合連合会, 指導監査部, 研究員
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Keywords | 木材生産 / 森林経営 / 素材生産 / 木材需要 / 森林環境 / 木材生産展開 / 森林取得 / 森林資源 |
Research Abstract |
1990年代、先進諸国では森林環境の保護に向けた法的な体制整備が行われ、それに伴って大なり小なり木材生産の構造的変化が展開した。本研究ではそうした先進国としてアメリカ北西部、アメリカ南部、スイス、スウェーデン、カナダ、ニュージーランドを取り上げ、それぞれの国における90年代の政策的変化の様相とそれに平行した素材生産の構造的変化の実態を押さえ、環境時代における木材生産展開の基本方向を明らかにした。 アメリカ西部では、90年代、環境問題によって国有林の木材生産量が10分の1に削減されたこと、国内の木材需要は旺盛ではあったが無垢の木材の利用から工業的に加工された木材への転換が進んだこと、外国からの木材輸入によって国内市場が圧迫されたことなどが要因となって、製材工場・素材生産業者の激減、木材生産の請負単価の低下、大手木材企業のM&Aによる森林取得、素材生業者の請負先に対する従属的地位への転化、といった構造的な反応がもたらされた。また西部の中でもオレゴン州では森林施業法が規制的な方向で強化されたことも加わって、素材生産業者間で、皆伐を中心とする比較的大手の業者と間伐を主体とする小規模業者へと階層的な分解が見られる。 この対局に位置づけられるのがスイスの林業であった。スイスでは生産の対象となる森林資源が成熟しており、一定の規模以上の公共的な森林を森林経営と見なしている。素材生産はそうした森林経営が自ら伐採活動を行うという形で行われているのが一般的で、伐採については連邦森林法により皆伐が禁止されている。林業経営(森林経営+素材生産)は基本的に赤字であるが、森林の維持管理や生産技術・経営技術の継承が公共的な視点から組織的に行われているのが特徴である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 志賀 和人: "スイス森林管理制度の形成過程と現在"林経協月報. 第487号. 2-10 (2002)
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[Publications] 志賀 和人: "スイスにおける地域森林管理と森林経営の基礎構造"林業経済. 第56巻第6号. 1-18 (2003)
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[Publications] 志賀 和人: 林業経済研究. 第50巻第1号. 15-26 (2004)
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[Publications] 大塚生美, 餅田治之: "アメリカ北西部太平洋岸の素材生産と環境問題の展開-オレゴン州における素材生産協同組合(AOL)の取り組み"熱帯林業. 第54号. 21-29 (2002)
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[Publications] 餅田治之, 大塚生美: "アメリカオレゴン州における森林施業法と素材生産(2)"日本林学会大会報告. 2003年4月号. (2003)
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[Publications] 大塚生美, 餅田治之: "1990年代のアメリカ北西部太平洋岸地域における林業木材産業の構造変化-オレゴン州を事例として-"林業経済. 第57巻第1号(In press). (2004)