2002 Fiscal Year Annual Research Report
硫酸酸性水田のイネ根面に定着する窒素固定細菌相の遺伝的多様性とコメ収量との相関
Project/Area Number |
13575031
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
橋床 泰之 北海道大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (40281795)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大崎 満 北海道大学, 大学院・農学研究科, 教授 (60168903)
田原 哲士 北海道大学, 大学院・農学研究科, 教授 (50001475)
長谷川 利拡 北海道大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (10228455)
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Keywords | 強酸性耐性イネ / 根面微生物と収量相関 / 微生物フローラの多様性 / 単生窒素固定細菌 / イネ根面pHの上昇 / Sphingomonas属細菌 / ローカルライスバラエティ / Siam Unus |
Research Abstract |
1)選定した60余の圃場について、それぞれ土壌の物理化学的性質(各種微量元素含有量、pH、EC、アンモニア量等)とコメ収量との相関を綿密に調べた。その結果、収量と相関を示す唯一のパラメーターとして、土壌の酸性度が高いほど収量が高い傾向を統計学的に明らかにした。収量の低い水田のpHは登熟期(7月下旬)においても5-6と中性域に留まり、その根面から得た微生物は嫌気的に還元性ガスを放出する性質を示した。硫化水素の発生も認められ、イネは秋落ちの症状を示していた。これに対し、酸性の強い水田では活発な鉄分の酸化が進行し、根面の微生物群集は微好気性を示した。 2)南カリマンタン、Gambut周辺の酸性硫酸塩水田(登熟時湿潤、pH2.9〜3.9)および潜在的酸性硫酸塩水田(登熟時半乾燥、pH4.5〜5.0)で作付けされているイネ・ローカルバラエティ(siam Unus)の窒素に対する反応性を調べた。Siam Unusはアンモニアおよび硝酸塩に対するレスポンスがほとんどなく、内生あるいは着生細菌による窒素固定にて窒素分を得る可能性が高いことが分かった。そこで根面に定着する窒素固定細菌として分離した2株のSphingomonas属細菌を用い、予備的な接種試験を行った。その結果、生育が著しく向上したポットではイネの根内に特徴的な内生細菌群集が形成されること、および根面の細菌フロラがバイオフィルム形成を行うことが示された。特にSphingomonas属細菌の固着菌体は全く運動性を消失し、ゲリラ的に運動能力を獲得すること、根面では菌体は規則的に分散し、凝集菌体を形成しないことが分かった。 3)輸入許可を得た在来品種、および日本のイネ品種の種籾を用いて、根系と根面細菌の相互関係の可視化を図り、無機塩入りジェランガム培地を用いてこれに成功した。在来品種は根の気道が極めて大きく、これが根周辺を酸化的に保つとともに、内部への機能性細菌の侵入と定着を容易にしていることが示された。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Yasuyuki Hashidoko: "Rhizoplane pH and rhizoplane microflora of local rice varieties grown on acid sulfate soil in South Kalimantan"Tropics (Proceedings of TROPEAT 2002). (Accepted for publication). (2003)
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[Publications] Yasuyuki Hashidoko: "Characterization of five phyllosphere bacteria isolated from Rosa rugosa leaves, and their phenotypic and metabolic properties"Bioscience, Biotechnology and Bioscience. 66・11. 2474-2478 (2002)
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[Publications] Jun Wasaki: "Expression of the OsPIl gene, cloned from rice roots using cDNA microarray, rapidly responds to phosphorus status"New Phytologist. (Accepted for publication). (2003)