2001 Fiscal Year Annual Research Report
青海・チベット草原生態系における炭素循環のプロセスとメカニズムの解明
Project/Area Number |
13575035
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
唐 艶鴻 独立行政法人国立環境研究所, 生物圏環境研究領域, 主任研究員 (40270590)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関川 清広 玉川大学, 理学部・生物学教室, 講師 (40226642)
鞠子 茂 筑波大学, 生物科学研究科, 助教授 (10251018)
小泉 博 岐阜大学, 流域環境研究センター, 教授 (50303516)
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Keywords | 高山植物 / 炭素循環 / 光合成 / 蒸散 / 土壌呼吸 / CO2フラックス / 炭素蓄積 / 強光阻害 |
Research Abstract |
本年度の計画としては、海外の研究環境の整備を行い、微気象観測システムの組み立て、光合成と土壌呼吸について測定方法を確立するである。 まず、中国科学院西北高原生物研究所の海北高寒草甸生態系統定位站(37°29′N-37°45′N,101°12′E-101°23′E, alt:3250m)内の一地点において、2001年8月9日CO2フラックスと生態系炭素循環プロセスに影響を及ぼす生物環境要因を観測し、現在も継続中である。2001年8月から10月始めにかけての観測結果によると、当該高山帯草原生態系はCO_2を吸収しており、同期間において「炭素シンク」であった。また、純生態系生産量(NEP)の日積算値と考えられる正味CO2フラックスの日積算値(DNFc)は観測期間を通して正であった。観測期間中のDNFcの最大値は、8月に見られ、およそ15〜20gCO_2m^<-2>d^<-1>であった。DNFcは10月に向かうにつれて減少したが、負に転じることはなかった。 次ぎに、光合成・バイオマス・土壌呼吸及び炭素蓄積に関する研究サイトの確立と初期測定の開始した。3種類の高山植物について、強光阻害とそれに及ぼす環境要因について光合成・蛍光反応を測定し、強光による植物の物質生産への影響を明らかにした。 また、これまで収集した青海・チベット高原の研究情報について、物質循環の過程とメカニズムを解明するためデータベースの構築・整備及びデータ解析を行った。とくに、異なる草原植生において土壌中炭素の蓄積量を明らかにした。 さらに、夏季と冬季において土壌呼吸の測定を行なった。土壌呼吸速度のレベルは、日本の冷温帯域の半自然草地で夏期に観察されるものと同程度であることがわかった。また、冬季の土壌呼吸について、夏期の1/20程度のレベルで土壌呼吸によるCO2放出が見られ(最小:8mgCO_2m^<-2>h^<-1>から最大30mgCO_2m^<-2>h^<-1>),厳寒下の調査で点数が少ないものの,明瞭な日変化も確認できた。
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