2001 Fiscal Year Annual Research Report
ネパールに多発するBudd-Chiari症候群の成因と肝発癌の臨床病理学的研究
Project/Area Number |
13576004
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
鹿毛 政義 久留米大学, 医学部, 教授 (80148840)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
豊永 純 久留米大学, 医学部, 教授 (00098881)
神代 正道 久留米大学, 医学部, 教授 (90080580)
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Keywords | Budd-Chiari症候群 / うっ血肝 / 門脈圧亢進症 / 食道静脈瘤 / 肝部下大静脈 / 肝静脈 / 膜様閉塞 / ネパール |
Research Abstract |
カトマンズのBir病院のShrestha教授の研究グループと協同でネパールBudd-Chiari症候群(BCS)の症例検討を行った。生検が施行されたBCS80症例について、プロトコールを作成し病歴・生化学検査・画像などの臨床事項の整理と肝生検組織の病理学的検討を行った。 臨床事項に関しては、臨床病型をBCSを急性型、亜急性型、慢性型の3型に分類し、さらに肝部下大静脈および肝静脈の閉塞の部位と形状について整理した。病理病期分類、うっ血肝、うっ血性肝線維症、うっ血性肝硬変に分類した。 BSCは食道静脈瘤、腹壁静脈怒張など門脈圧冗進症を呈した。12%に感染症が先行し、アルコール歴が19%に認められた。超音波画像診断、下大静脈造影では、肝部下大静脈の膜様閉塞(MOVC)や狭小化が80%に認められ、成因は血栓性閉塞と判断された。BCS症例の病理組織像は次の3群に分類できた。 1.うっ血性肝病変群(47%):肝うっ血を主病変とする症例。急性のうっ血肝からうっ血性肝硬変に至るうっ血性肝病変のスペクトラムが見られた。慢性のうっ血性肝病変に急性のうっ血像が加重した組織像を呈する症例も6%に見られた。 2.アルコール性肝障害群(22%):肝うっ血所見よりも、アルコール性肝障害像が主体をなす症例。 Mallory bodyなど特徴的なアルコール性肝災、小結節性のアルコール性肝硬変が観察された。 3.非特異性肝炎群(16%):敗血症、腹膜炎などの先行する感染症例に観察された。組織所見の特徴は、肝細胞索の保持、類洞内のリンパ球や好中球の増生、巣状壊死の散在、類洞壁細胞の活性化などであった。
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