2001 Fiscal Year Annual Research Report
インドネシア・西チモールにおけるダム建設と疾病媒介動物動態
Project/Area Number |
13576009
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Research Institution | 佐賀医科大学 |
Principal Investigator |
茂木 幹義 佐賀医科大学, 医学部, 助教授 (00039538)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷川 英男 大分医科大学, 医学部, 助教授 (00126442)
砂原 俊彦 佐賀医科大学, 医学部, 助手 (50264156)
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Keywords | インドネシア / 水田開発 / ダム建設 / マラリア / 蚊 / 魚 / ネズミ / 国際研究者交流 |
Research Abstract |
インドネシア・西チモールで、ダム建設を伴う灌漑水田開発による環境変化が疾病媒介蚊およびその他の衛生動物におよぼす影響を継続調査している。調査はダム建設が始まる直前の平成10年に開始された。ダムは平成13年5月に完成した。平成13年度はダム完成後の最初の調査で、乾季と雨季に実施された。 乾季の調査は平成13年7-8月に実施した。ダムは完成し湛水は可能であったが乾季で河川の流水量が少ないため、大きな水溜りができているにすぎなかった。この水溜りや河川にはマラリア媒介蚊を含む蚊の幼虫が発生していたが、その密度は低かった。その原因は(1)工事用の土砂や石を採取するために河川の本来の形が失われ蚊の幼虫の生息に適した微環境が減少したこと、(2)グッピーを含む魚類の捕食効果が大きいことと考えられた。林が伐採された後の水田造成予定地や水田を灌漑するための水路は完全に乾燥し、蚊の幼虫の生息可能な水域は無かった。 雨季の調査は平成14年2月に実施した。満水時の50%余り(満水時水面高100mに対し水面高93m)が湛水されたダム湖にはマラリア媒介蚊を含む蚊幼虫が発生していたが、その密度はきわめて低かった。その原因は(1)水量が増加中で変動しているため幼虫の生息に適した安定した微環境がないこと、(2)グッピーが急速に増加していることと考えられた。ダム湖周辺の伐採地および灌漑水田造成予定伐採地には多数の雨水溜りが形成され、魚がいないため、マラリア蚊を含む蚊の幼虫が高密度で生息していた。灌漑用水路にも水が溜まっていたが、オタマジャクシなどが多く、蚊の幼虫はほとんど見られなかった。 捕獲したクマネズミ(仮同定)の消化管からは線虫7種、条虫2種、吸虫1種、鉤頭虫1種、合計11種の寄生虫が確認された。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Yabe, T., Mogi, M., Selomo, M., Noor, N.B.: "Migration of the roof rat, Rattus rattus, between houses and paddy fields in Indonesia"Medical Entomology and Zoology. 52・1. 43-47 (2001)
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[Publications] Iwasa, M.: "Taxonomic and faunistic notes on the Sepsidae (Diptera) in Seram, Indonesia"Entomological Science. 4・4. 533-538 (2001)
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[Publications] Wahid, I., Sunahara, T., Mogi, M.: "Mouthpart of male Aedes (Stegomyia) mosquitoes"Journal of the American Mosquito Control Association. 18・2(印刷中). (2002)
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[Publications] Kamimura, K., Matsuse, I.T., Takahashi, H., Mogi, M.et al.: "Effect of temperature on the development of Aedes aegypti and Aedes albopictus"Medical Entomology and Zoology. 53・1(印刷中). (2002)