2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13576010
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
嶋田 雅暁 長崎大学, 熱帯医学研究所, 教授 (70124831)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金田 英子 長崎大学, 熱帯医学研究所, 助手 (10253626)
安高 雄治 長崎大学, 熱帯医学研究所, 助手 (50336187)
門司 和彦 長崎大学, 熱帯医学研究所, 教授 (80166321)
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Keywords | 人間行動 / 固体識別 / マンソン住血吸虫症 / 全地球測位システム(GPS) / 東アフリカ / タンザニア |
Research Abstract |
本研究の目的は、タンザニアの住血吸虫症流行地に居住する住民を対象に、個人を厳密に識別しながら河川の水との接触量と排泄虫卵数を定量的に測定することによって、住血吸虫に感染し易い住民と感染しにくい住民を個体識別することである。 これまでの住血吸虫症研究では、個人の排泄虫卵数の定量化は可能でも、個人の行動の定量化には限界があり、河川との接触量と住血吸虫感染陽性率や感染強度との相関を集団として明らかにすることは出来ても、個人においても同様の事実があるかどうかについて解明することが極めて困難であった。 目的を達成するためには、まず住民の行動観察を個人別に厳密に行う方法を開発することがもっとも重要な鍵となるため、初年度の主要な目的を行動の個人別定量化の方法の確立とした。また、住民の行動を個人別に厳密に観察できる方法として、GPS(Global Positioning System、全地球測位システム)にも可能性があると考え、現在行動観察への導入を試みている。 初年度は、最も観察が容易と考えられる東アフリカの乾季、2002年2月2日から3月22日の間、タンザニアのマンソン住血吸虫症流行地における小学生を対象に、1)直接観察法(個人を起床時間から就寝時間まで追いかけてその行動を記録する)と、2)質問票による方法(前日の行動をインタビューによって聞き取りを行う:思い出し法)による行動(特に水接触行動)観察を行った。 そのデータに基づいて本年度は、水接触行動を定量的に把握する方法として、直接観察法と思い出し法の比較を行い、思い出し法(詳細な聞き取り調査による)の有効性について検証を行った。 その結果、1)ロア・モシ地区の小学生において、最もリスクの高い水接触行動は川や水路での水遊ぴ(遊泳)と考えられた。2)直接観察法と比較すると、思い出し法では水接触回数は少なく、時間が有意に長かった。3)直接観察法と思い出し法では、特に感染リスク水との接触行動において非常に相関が高かった。4)何らかの補正が必要であるものの、思い出し法(詳細な聞き取り調査)だけで集団としての感染リスクを推定できる可能性が高いと考えられた。(日本熱帯医学会で発表) この結果をもとに、思い出し法による調査を数百人レベルで行うための予備調査を行った。
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