2003 Fiscal Year Annual Research Report
南米における先天性シャーガス病の病因、病態に関する研究
Project/Area Number |
13576011
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Research Institution | KEIO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
竹内 勤 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (00051847)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
肥後 廣夫 九州大学, 医学研究院, 助手 (80117225)
斉藤 智也 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (80327501)
三浦 左千夫 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (30051858)
関 健介 杏林大学, 保健学部, 助手 (40286430)
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Keywords | 先天性シャーガス病 / Bolivia / 東北ブラジル / Benznidazole / 肝脾腫脹 / 媒介昆虫サシガメ / 慢性感染キャリアー / Trypanosoma cruzi |
Research Abstract |
本研究はボリビアの先天性感染シャーガス病の疫学的調査に始まり,現在は東北ブラジル・セアラ州・インデペンデンシア地域も対象に,南米全域の先天性感染シャーガス病の疫学的調査に発展をしている.Boliviaでは,先天性感染シャーガス病と診断された乳幼児に対して,Benznidazoleの投与を行い,3年間に渡り,その経過を観察できた.本疾患新生児についてはBenznidazoleの投与後,97%以上の患者血液中からは病原体は消失し,肝脾腫も消失するなどの効果が得られた.しかし,中には投与不完全なためか3年目に再度病原体が血液中より検出された例もあった.これは経過観察中,媒介昆虫(サシガメ)との接触を否定されることから,管理投薬ではないことに問題があった,(投薬不完全)結果であると考えられる. 本疾患新生児出生の慢性感染母親(32/32)全員がキャリアーであることは明らかではあったが,現地の治療指針では慢性感染者には治療の必要性を認めていないため(医療関係者をも含めた意識改革が必要である),先天性感染シャーガス病新生児の出生数は以前と比べて変化はない. 以上の結果を2003年7月Bolivia Santa Cruzで開催された,12回全米日系人会議・保健分科会にて三浦が発表した.今後の現地における本疾患対策についてはJICA(草の根支援型・草の根パートナー型)支援事業に支援申請を行った. また,東北ブラジルでは先天性シャーガス病の症例こそなかったが,Boliviaと同じく,未だ血液中に病原体を検出する慢性感染キャリアーが明らかに存在し,媒介昆虫も生息することから本疾患が再興感染症として,再び流行する要素があることを現地関係者に提唱した.異なる地域で分離分離した病原体(Trypanosoma cruzi)の病原性はいずれもマウスに対してはマイルドであることが判明した.
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