2002 Fiscal Year Annual Research Report
フランス共和制の哲学とグローバリゼーション――普遍主義的国民国家とその外部
Project/Area Number |
13610003
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
増田 一夫 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (70209435)
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Keywords | フランス / 共和制 / 哲学 / グローバリゼーション |
Research Abstract |
昨年度の研究実績報告書に予定として記述したように、平成14年3月にフランスにおもむいて、J.デリダ、D.ベンサイド、A.マトラールらとの情報股間をおこない、現在進行中のヨーロッパ統合およびグローバリゼーションをめぐる所見を論じあうことができた。同時に、J.デリダ、D.ベンサイドの訪日および彼らの日本での研究発表についても、具体的に確認した。 前者は、世界的にもきわめて著名な思想家である。増田が窓口となって準備していたJ.デリダの訪日(平成15年1月に予定)は、残念ながら本人の健康上の理由で延期となったが、それ以前の平成14年7月、増田はJ.デリダの政治思想をめぐっておこなわれたスリジー・ラ・サル(フランス)のシンポジウム「来るべき民主主義」に出席し、「ハンナ・アーレントと地獄の政治学」(仏語)なる成果発表をおこなうと同時に、主に欧米から集まった100名ほどの研究者とつっこんだ議論をすることができた。 D.ベンサイドは予定通り10月に来日。東京大学にて講演およびゼミナールをおこなったほか、増田と三浦信孝(中央大学)が組織したシンポジウム「グローバル化の中のフランス政治思想」(於・日仏会館、10月11日〜10月13日)にも参加した。この催しには、同時期に来日したE.バリバールも加わっている。増田は司会および3日目の基調報告をこれまでの研究成果に基づいておこなった。 文献の方では、もっか、D.シュナッペール、H.アーレント、E.バリバールを中心に研究を進めている。 中間段階での成果としては、年度初頭に「普遍性への途上--クレオールとフランス共和制」(遠藤泰生・木村秀雄編『クレオールのかたち』、東京大学出版会、2002年5月所収)を上梓した。上記のシンポジウムにおける発表も、平成15年度の夏もしくは秋に活字になる予定である。
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