2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13610004
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
村田 純一 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (40134407)
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Keywords | 技術哲学 / 社会構成主義 / 技術決定論 / 近代性 |
Research Abstract |
1.技術の両義性と創造性:技術の道具説と技術決定論とは,しばしば技術に関する正反対の見方とみなされている。しかし,道具という概念に備わる「潜在的知性」ないし「共同行為者」という側面に注目すると,両者とも使用の場面では,「解釈の柔軟性」を可能な限り限定し、ブラックボックス化するという面で共通性の備わることが明らかとなる。社会構成主義が「解釈の柔軟性」を強調するのも,ほとんどは製作やデザインの過程であり,使用の過程にまでその概念を拡大することは少ない。それに対して、技術を使用する場面で「解釈の柔軟性」に注目することによって、技術の本質的両義性とその「創造性という特質を取り出すことができる。 2.技術と近代:技術論のひとつの主要問題は技術の近代性をどう考えるかという点にある。換言すると,近代技術と古典技術を区別する基準は何かという問題でもある。こうした問題を扱う多くの場合、近代技術が古典技術と本質的に異なっていることが前提されているしかし、非本質主義を真剣に受け取るなら、こうした前提自体を問題にしなければならない。このような観点から、日本の近代化の過程を具体例として取り上げて、非本質主義の観点のもとで技術の近代性を扱うひとつの可能な方法を提示した。 3.西田哲学と技術論:これまでの西田研究の中では、西田哲学における技術概念の重要性は必ずしも注目されてこなかった。それに対して、西田の「作られたものから作るものへ」という概念や「逆限定」といった概念が非本質主義的な技術論にとって重要な示唆を与えてくれるものであることを示した。 ここであげた各論点をまとめるような英文の論考「技術の創造性と日本の近代化」を書き上げ、近々、出版の予定。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 村田純一: "技術哲学の展望"思想. 926. 6-31 (2001)
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[Publications] Murata, Junichi: "Technology and Ethics"「情報倫理の構築、」プロジェクト、第2回国際ワークショップ. 報告集. 203-225 (2001)
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[Publications] 村田純一: "色彩の多次元性-ゲーテとウィトゲンシュタイン"モルフォロギア. 23. 16-32 (2001)