2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13610016
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Research Institution | Prefectural University of Kumamoto |
Principal Investigator |
山田 俊 熊本県立大学, 文学部, 助教授 (30240021)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂内 榮夫 岐阜大学, 教育学部, 助教授 (90225780)
船山 徹 京都大学, 人文科学研究所, 助教授 (70209154)
麥谷 邦夫 京都大学, 人文科学研究所, 教授 (90114678)
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Keywords | 杜光庭 / 『太上老君説常清浄經』 / 玄宗皇帝 / 戒律 / 『玄珠心鏡註』 / 禅宗 / 曹道沖 / 龍樹 |
Research Abstract |
最終年度にあたる平成14年度の研究成果は以下の通りである。 山田は研究全体の統括を行うとともに、「杜光庭の思想(上)-「道氣」と「樂記篇」-」、「杜光庭の思想(下)-「虚心」と「無心-」を著わし、前者では、唐末〜五代の道教の心性思想を儒教思想との交流の上に検討し、後者では、「虚心」「無心」の語を軸に禅宗との関わりから心性問題を考えた。「報告論文書」掲載の「曹道沖の思想について」では、北宋の『道徳経』注釈を材料に、その心性思想を唐から宋代への流れの上に位置づけた。昨年度の成果と併せることで、六朝から宋までの心性思想の流れを検討したことになる。 麥谷は「三經御註から見た唐・玄宗の三教理解」と題した口頭発表を行い、唐代道教思想上の重要人物である玄宗皇帝の三教理解について考察した。本報告集では、山田「杜光庭の思想(上)」も取り上げた、唐〜五代道教の心性思想の重要資料である『太上老君説常清靜經註』の索引を作成した。 船山は「龍樹、無著、世親の到達した階位に関する諸伝承」を著わし、菩薩の十地思想に於いて初地に至ることの意義を悟りとの関わりから考察した。「報告論文集」掲載の「五世紀中国における仏教徒の戒律受容」は仏教の「戒」に視点を据え、心性思想とも深く関わる中国仏教戒律史の概要を考察した。 「報告論文集」掲載の坂内「『玄珠心鏡註』に見える修心思想」は、九世紀初頭の成立と推測される『玄珠心鏡註』を材料に、唐代道教の心性思想と仏教思想、特に禅宗との交流を具体的に論じたものであり、『玄珠心鏡註』の心性思想の背景に、道・仏二教の心性思想を巡る交流が有ったことを指摘している。 全体として、六朝、唐、五代、北宋の各時代の仏・道二教の交流に関わる研究成果を得ることが出来た。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 山田 俊: "杜光庭の思想(上)-「道氣」と「樂記篇」-"熊本県立大学文学部紀要. 9・1. 15-42 (2002)
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[Publications] 山田 俊: "杜光庭の思想(下)-「虚心」と「無心」-"熊本県立大学文学部紀要. 9・2. (2003)
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[Publications] 麥谷邦夫: "眞父母考-道教のおける眞父母の概念と孝をめぐって-"中國中世社會と宗教. 19-38 (2002)
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[Publications] 船山 徹: "「漢訳」と「中国撰述」の間-漢文仏典に特有な形態をめぐって-"仏教史学研究. 45・1. 1-28 (2002)
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[Publications] 船山 徹: "龍樹、無著、世親の到達した階位に関する諸伝承"東方学. 105. 134-121 (2003)