2003 Fiscal Year Annual Research Report
都市的生活様式の普及と日本人死生観の変遷についての社会史的研究
Project/Area Number |
13610026
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
村上 興匡 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 助手 (40292742)
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Keywords | 葬儀 / 死 / 近代化 / 都市化 |
Research Abstract |
平成15年度は、これまで研究成果のまとめとして、明治から平成までの時代ごとの事例について、その特徴を概括するとともに、都市生活様式の普及という観点から、全体を通しての日本人死生観の変遷を明らかにすることを目指した。 明治期の風俗改良運動は、戦後の新生活運動にいたるまで、その形を変えながら全国的に広がっていったが、その流れについて新聞、雑誌など各種活字資料を用いて明らかにした。地方においても、都市的な生業関係や人間関係がとられるようになるにしたがい、生活様式も都市的な形に変化してゆく、所謂「地方の都市化」が、特に高度経済成長期に進展する。それによって、伝統的な「家」を基本とする宗教慣習が都市化によって変容していく。その一事例として、「告別式」や「宗教結婚式」などの近代的な人生儀礼が、都市においていかなる背景から成立し、戦後、どのように全国に普及していった様子について調べ、その意味について考察した。その成果については、「近代的人生儀礼の起源とその意味」として雑誌『SOGI』79〜81号(平成16年1月〜5月刊行予定)に発表した。 都市地域では、未だ「家」的な性格を持つ中小企業が、その創業者の死亡に際して「社葬」を行うようになり、告別式の葬儀を社会に対して示す性格が強化されて、告別式の華美化が起こった。以上の流れについては、葬祭業者の業界紙、社史などや当時の新聞、雑誌資料から分析を行った。また、平成以後はさらなる個人化の進展によって、自己の最終表現としての葬儀という考え方が生まれ、死後の自己決定権など葬られる側と葬る側のギャップが拡大する。その点については各種意識調査などから分析をくわえた。 これら研究成果をふくめて調査報告書作成する予定である。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 村上 興匡: "明治期仏教に見る「宗教」概念の形成と「慣習」-島地黙雷を中心に-"島薗進・鶴岡賀雄編『<宗教>再考』ぺりかん社. 207-227 (2004)
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[Publications] 村上 興匡: "全国調査「葬送と墓の意識」でわかったことは何か(2)"月刊 寺門興隆. 12月号. 73-81 (2003)
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[Publications] 村上 興匡: "近代的人生儀礼の起源とその意味(上)"SOGI. 79号. 69-72 (2004)
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[Publications] 村上 興匡: "近代的人生儀礼の起源とその意味(中)"SOGI. 80号(印刷中). (2004)