2001 Fiscal Year Annual Research Report
宗教とモダニティの関係についての総合的研究-世俗化論を超えるために
Project/Area Number |
13610028
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Research Institution | National Museum of Ethnology |
Principal Investigator |
竹沢 尚一郎 国立民族学博物館, 博物館民族学研究部, 教授 (10183063)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関 一敏 九州大学, 大学院・人間環境学研究院, 教授 (50179321)
新免 光比呂 国立民族学博物館, 民族社会研究部, 助教授 (60260056)
中牧 弘允 国立民族学博物館, 先端民族学研究部, 教授 (90113430)
山中 弘 筑波大学, 哲学思想学系, 教授 (40201842)
川村 邦光 大阪大学, 大学院・文学研究科, 教授 (30214696)
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Keywords | 宗教社会学 / 近代化 / 植民地主義 / 聖なるもの / 呪術 / 宗教統制 / 憑依 / 世俗化 |
Research Abstract |
本研究の主眼は、(1)宗教と近代化の関係について、イギリスやフランスなどの先行近代化社会と、日本その他のアジア諸国のような後発近代化社会とを具体的に取り上げて理解することであり、(2)その検討を通じて、「聖」「近代化」「世俗化」「呪術からの解放」など、これまで宗教学で用いられてきた概念を再検討することである。 本年度は最初の研究年度であるため、年内に数回研究会を開催して、研究の意図、研究目的および問題意識の共有をはかった。第1回の研究会では、竹沢が聖概念のフランス宗教社会学における系譜と、エリアーデによる独自の発展を論じ、とくにルーマニアにおける民俗思想とエリアーデの宗教学との接点について考察した。また山中は、近代化の先進国である19世紀イギリスにおいて、宗教が飛躍的な発展を見たこと、それゆえ近代化と宗教とは相反する概念ではないが、20世紀後半にはそれが妥当することを実証的に論じた。 第2回の研究会では、愛知学院大の林が明治初期の日本における宗教政策について論じ、とくに政府による民間宗教の統制と排除について論じた。また、近代化と宗教の関係についてウェーバーの論点を批判的に検討し、多くの議論を招いた。また、国立民族学博物館の田辺が、現代のタイにおける精霊憑依宗教の発展について論じ、それを反社会的・前近代的退行としてとらえるのではなく、むしろ社会の近代化に対する宗教の側からの適応形態として考察した。 研究は継続中であり、次年度末には研究成果を一般図書として刊行して、広く学界・読書界の批判を仰ぐ予定である。
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Research Products
(2 results)