2002 Fiscal Year Annual Research Report
宗教とモダニティの関係についての総合的研究-世俗化論を超えるために
Project/Area Number |
13610028
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Research Institution | National Museum of Ethnology |
Principal Investigator |
竹沢 尚一郎 国立民族学博物館, 博物館民族学研究部, 教授 (10183063)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関 一敏 九州大学, 大学院人間環境学研究科, 教授 (50179321)
杉本 良男 国立民族学博物館, 民族文化研究部, 教授 (60148294)
田辺 繁治 国立民族学博物館, 民族学研究開発センター, 教授 (00045262)
山中 弘 筑波大学, 歴史哲学系, 教授 (40201842)
川村 邦光 大阪大学, 大学院文学研究科, 教授 (30214696)
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Keywords | 宗教学説史 / モダニティ / 世俗化論 / ナショナリズム / 植民地主義 / ファシズム |
Research Abstract |
本年度は、本研究の最終年度でもあり、数回の研究会を開催して問題意識を共有するとともに、報告書作成のための準備をおこなった。 まず、平成13年度におこなったイギリス、フランス、タイ、日本における宗教とモダニティの関係に関する報告を踏まえ、本年度はルーマニア、ドイツ、マレーシア、中国、インド、日本の事例について報告をおこなった。これにより、イギリスとフランスなどの近代化の先進諸国、日本とドイツなどの後発近代化諸国、インド、マレーシアという植民地支配とともに近代化の進行した諸国、そして中国、タイ、ルーマニアという植民地化はされなかったが近代化の遅れた諸国の事例を集めることができた。 この比較研究により、日本とドイツ、ルーマニアにおいて、近代化の過程で宗教とナショナリズム、ファシズムが密接に関係しながら社会の支配的イデオロギーを構成したことが明らかにされた。また、マレーシアやインドなど、西欧諸国の植民地支配を受けた国々では、本国における宗教政策と、現地における宗教運動および宗教研究の相関を考慮すべきことが明らかになった。現在報告書を作成中であり、これは世界思想社から単行本として刊行される予定である。このなかでは、宗教とモダニティの関係について、さまざまな事例がとり上げられるほか、モダニティの問題を考えるための研究場としての宗教研究の視座の有効性が検討されるほか、宗教についての新たな理解のためのモダニティ研究という、従来にない視点が打ち出されるはずである。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 竹沢尚一郎: "都市の戦略と物語"都市科学. 夏号. 17-21 (2002)
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[Publications] 竹沢尚一郎: "民族学博物館の現在-民族学博物館は21世紀に存在しうるか"国立民族学博物館研究報告. 27巻2号(印刷中). (2003)
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[Publications] 竹沢尚一郎: "日常的実践のエスノグラフイー-語り・コミュニテイ・アイデンティテイ"田辺繁治・松田素二編『日常的実践のエスノグラフィー』世界思想社. 1-38 (2002)
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[Publications] 杉本良男: "インド映画への招待状"青弓社. 253 (2002)
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[Publications] 田辺繁治: "生き方の人類学"講談社. 26 (2003)