2001 Fiscal Year Annual Research Report
東アジアにおける儒教思想の倫理思想史的研究-「人倫」概念を手がかりに-
Project/Area Number |
13610037
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
高島 元洋 お茶の水女子大学, 文教育学部, 教授 (90127770)
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Keywords | 儒教 / 崎門 / 上総道学 / 稲葉黙斎 / 東アジア / 人倫 / 懐徳堂 |
Research Abstract |
1.本研究の目的は、日本を含め広く東アジアにおいて、儒教が、思想及びイデオロギーとしてどのように機能していたかを具体的実証的に検証し、その倫理思想史的意味を「人倫」概念を中心に理論的に解明するものである。 2.本年度は、研究初年度であり、主として研究体制を確立した。従来からの研究会を充実させ、資料収集・情報交換をしやすいように環境を整備した。そのうえで、以下のように研究作業を進めた。 3.理論的研究:(1)「人倫」概念の検討。日本の近世思想ではきわめて重要な意味を持つ言葉であるが、これを再検討する。 (2)近代日本の国民道徳論などにおいて、「人倫」を核とする儒教理論がいかに展開するかの検討。 (3)日本をはじめとして東アジアにおいて、儒教が社会の発展に大きな影響を与えていることの意味を検討する。 これらの研究は、主として文献により、その結果については研究会で検討し現在分析中である。 4.調査研究:(1)上総道学を中心として、日本近世儒教の実態調査を行なう。すでに、千葉県の上総道学については、稲葉黙斎の著作をはじめとして主要な文献を収集し、目録を作成中である。 (2)収集した文献の中から、重要なものに関して、テキストの校正・本文作成・註釈の作業を進めている。このことによって、近世後期の儒教の実体を明らかにしたい。 (3)同時に、日本朱子学の中で崎門がどのような位置にあるかも解明する。例えば、大阪には商人の学問として懐徳堂があったが、千葉の農民の学問と比較することが出来る。
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