2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13610040
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
鷲田 清一 大阪大学, 文学研究科, 教授 (50121900)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西村 ユミ 日本赤十字看護大学, 看護学部, 講師 (00257271)
本間 直樹 大阪大学, 文学研究科, 講師 (90303990)
中岡 成文 大阪大学, 文学研究科, 教授 (00137358)
松葉 祥一 神戸市看護大学, 看護学部, 助教授 (00295768)
守田 美奈子 日本赤十字看護大学, 看護学部, 教授 (50288065)
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Keywords | 臨床 / 現象学 / 看護 / 対話 / コミュニケーション / ケア / 身体 / 哲学カウンセリング |
Research Abstract |
初年度の研究課題は、哲学・倫理学ならびに基礎看護学の視点から、現象学的看護理論への現象学の導入の可能性を研究分担者各自が探求し、その成果を持ち寄って全員で検討するというものであった。研究代表者・鷲田は、<弱さ>ならびに<老い>についての現象学的研究をまとめるとともに、6、7、8、11月と4回にわたり看護研究者とのメルロ=ポンティの『知覚の現象学』の研究会を主催し、看護の現場でその新たな看護研究方法論を模索している研究者と哲学研究者との共同作業として、現象学の理解そのものの深化を試みた。研究分担者は、三つの研究機関(大阪大学大学院文学研究科、日本赤十字大学看護学部、神戸市看護大学基礎看護学部)を拠点にしつつ、それぞれの分担研究課題(現象学的看護学の方法論、間身体性としてのケア関係、ケアにおけるコミュニケーションの分析、看護教育方法論、<臨床>概念の構築等の研究)に取り組むとともに、7月ならびに年度末の3月に、全研究分担者が集合して、看護学への現象学的方法の導入の可能性について、その必要性と限界とについて集中的な討議をおこなった。それぞれの研究分担者はすでに当該研究の成果をさまざまなかたちで精力的に公表している(業績一覧参照)。また、特別プログラムとして、哲学とケアの関係を実践的に考えるためにヨーロッパを中心に試みられている「哲学カウンセリング」の世界会議に、研究分担者を核としたチームを派遣し、看護実践への哲学的・現象学的思考の導入の可能性を実地に見聞するとともに、その討論に積極的に関与した(大阪大学臨床哲学研究室編『臨床哲学のメチエ』Vol.9にその成果が報告されている)。この共同研究を通じて「看護の臨床哲学的研究」の課題と方向性はかなり明確になりつつある。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 鷲田 清一: "老いの時間"講座《生命》. 5. 269-300 (2001)
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[Publications] 鷲田 清一: "ケアという関係"看護展望. 2002・3. 10-13 (2002)
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[Publications] 中岡 成文: "考えにくい死を考える-哲学のまなざし"生と死の文化史(懐徳堂ライブラリー). 4. 55-85 (2001)
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[Publications] 本間 直樹: "失語症とその看護が問いかけるもの-他者理解とコミュニケーションについての臨床哲学的考察"臨床哲学. 3. 2-15 (2001)
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[Publications] 本間 直樹: "いま改めて聴くことの意味を考える"精神科看護. 28・7. 8-12 (2001)
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[Publications] 西村 ユミ: "看護ケアの現象学-関わりの中で開かれる植物状態患者との交流"現代思想. 29・17. 132-140 (2001)
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[Publications] 鷲田 清一: "<弱さ>のちから-ホスピタブルな光景"講談社. 221 (2001)