2002 Fiscal Year Annual Research Report
「日本思想史研究と東アジアの思想的伝統」に関する倫理思想史的研究-津田左右吉の「国民」思想研究の分析を手がかりに-
Project/Area Number |
13610042
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
清水 正之 東京理科大学, 工学部, 教授 (60162715)
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Keywords | 津田左右吉 / 国民思想 / 日本思想史 / 神話 / 上代史 / 東アジア |
Research Abstract |
本年度は前年度までの成果を受け、研究を以下の通り実施した。 まずは、津田左右吉の東洋的伝統への理解を整理し、日本思想史像との連関を一層あきらかにすることを目指す。 (1)そのために、これまでの日本思想史研究の関する知見を整理し、あらためて日本思想史の叙述を、和辻・村岡・丸山らの思想史像と東洋的伝統の理解と、つきあわせて、その連関を探った。 (2)こうした検討を踏まえ、さらに、まとまった形では刊行されていないため、日記その他の資料によって表明されている津田の西洋近代の思想・方法論への関心を探り、同時代の人文歌学の動向にも目を配りながら、津田の全体的な研究方法を検討した。それによって(2)の、とくに和辻などの国学的思想像との対照をある程度際だたせることができた。 (3)当年度も引き続き、東アジアの研究者、引き続き中国の研究状況、およびあらたに韓国の状況を調査し、津田の理解あるいは批判を細部まで検討した。近代日本の自らの思想伝統への哲学的倫理学的な反省という動向への学的な理解の高まりが、逆に、東アジアの儒教文化圏の研究者の伝統的な思想との連続性への新たな関心を生んでいるという状況を、津田左右吉研究という限られた領域からあきらかにし、日本思想史研究のあらたな展望をひらく手がかりを求めた。 (5)以上の成果が東アジアの思想史研究の共同作業の展望につながることをめざし、総合的な成果は、研究報告・論文などの形で公表する。
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Research Products
(2 results)