2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13610060
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
武田 潔 早稲田大学, 文学部, 教授 (90197301)
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Keywords | 映像批評 / フランス / ルネ・クレール / 自己反省 |
Research Abstract |
かつてフランスを代表する映画監督として世界的な名声を博していたルネ・クレールをめぐって,フランスの映画批評におけるその評価の変遷を検証し直し,なかんずく彼の"自己反省的"な映画観に対する関心の推移を辿ることで,映画的言説における"同時代性"の意義と問題点を明らかにすることが本研究の目的とするところである。かねてから取り組んできたこのテーマのもとに,本年もまた関係する資料の調査と収集を行い,論考を進めた。 ただし,今回の科研費採択は平成13年10月の追加採択によるものであり,申請の時点で同年の夏季休暇中に行うことを予定していたフランスでの資料調査は,年度末の春季休暇中(平成14年3月)にごく短期間(2週間程度)行うこととせざるを得ない。具体的には,パリのフランス国立図書館と,同図書館の芸能部門分館であるアルスナル図書館(遺族より寄贈された「ルネ・クレール資料」を収蔵)で作業を行う。なお,平成14年の夏季休暇期間中にも両機関で再度,資料調査を行う予定である。 他方,科研費を得たことにより,従来から収集してきた文献資料に加えて,映像資料の収集と活用を進めることができたのはきわめて有意義であった。DVDプレーヤーやパソコンなどのハードを整備し,DVDをはじめとする新たなソフトを収集・利用できたことで,クレール作品の表現上の特長をより具体的かつ綿密に検討することができた(例えば,サイレント期からトーキー期に至るまで,彼の作品に一貫して登場する「窓」や「見る行為」の主題系の分析など)。 なお,数年来取り組んできたクレール研究の成果の一環として,平成14年2月に論文「継続と変化-初期トーキー時代におけるルネ・クレールの映画観」を発表した。これは2000年度早稲田大学特定課題研究助成費を得て執筆したものであるが,内容的には本研究と一体をなすものであるため,付記しておく。
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Research Products
(1 results)