2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13610063
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Research Institution | Shinkoku Gakuin University |
Principal Investigator |
劉 麟玉 四国学院大学, 文学部, 助教授 (40299350)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塚原 康子 東京芸術大学, 音楽学部, 助教授 (60202181)
権藤 敦子 エリザベト音楽大学, 音楽学部, 助教授 (70289247)
奥 忍 岡山大学, 教育学部, 教授 (70031565)
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Keywords | 国民性 / 近代 / 洋楽受容 / 日本音楽 / 演歌 / 植民地教育 / 唱歌 / 国際研究交流 |
Research Abstract |
本研究を始めるきづかけとなったのは,平成11年8月に広島で行われた国際伝統音楽学会(ICTM)第35回世界大会において,"Musical Structure and the National Idehtity of Music"というテーマで本研究の代表者と分担者の5名がパネル発表を行ったことである。 本研究の代表者と分担者の5名は,いずれも戦前のさまざまな洋楽受容にかかわる問題から出発して研究を行ってきたが,本研究はそこに国民性(national identity)という問題軸を設定することによって,各人の多様な研究方法を生かした形で広島パネルでの成果を深化・収束させようとの趣旨から生まれたものである。研究方法の多様性はこの5名の長所でも難点でもあって,幅広い視点や問題関心の中から共有しうるポイントを掴みだし,テーマに即して議論をかみあわせるのは,実際は容易なことではなかった。しかし最終的に,少なくとも各人が今まで抱えていた問題のいくつかについて,この2年間の共同研究によって位置づけが明確になり,新たな論点を提示することができたと考えている。もとより,テーマとした研究課題に本報告書が十全な答えを示しえたとは言い難いが,近代日本の音楽と国民性の問題を考える際の手がかりの一つになりらぢものと自負するゆえんである。 2年間の研究期間中には,計8回の研究会やミーティングを開催して意見交換を行った。とくに,本年2月の最終研究会には,テーマと関連した研究を行っておられる植村幸生,奥中康人,細川周平,渡辺裕の4氏にご出席を依頼し,発表あるいはコメントの形で本共同研究または報告書の作成にむけて多大な御協力を賜った。
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Research Products
(18 results)
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[Publications] 劉 麟玉: "植民地下の台湾における学校唱歌教育の成立と展開(1895-1935)"お茶の水女子大学平成13年度学位論文博乙第162号. 160 (2002)
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[Publications] 奥 忍: "現代日本の学校教育における国際理解と地域学習"関西楽理研究. Vol.18. 37-44 (2001)
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[Publications] 奥 忍(共著者:加藤晴子): "国際理解と学校音楽教育-「郷土のこもりうた」から「世界のこもりうた」へ"岡山大学教育実践センター紀要. 11-20 (2002)
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[Publications] 奥 忍(共著者:林睦他2名): "地域の音楽家と学校教育の連携"音楽教育学. Vol.31-4. 12-23 (2002)
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[Publications] 奥 忍(共著者:加藤晴子): "音楽感覚形成における<こもりうた>の音楽教育的機能について"岡山大学教育実践センター紀要. 21-28 (2003)
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[Publications] 奥 忍(共著者:作田由美子): "唱歌が心と体に及ぼす影響〜音楽に対する情動反応と生理的反応に関する実験"岡山大学教育実践センター紀要. 29-39 (2003)
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[Publications] 権藤 敦子: "視聴覚資料評『原典による近代唱歌集成-誕生・変遷・伝播-』"東洋音楽研究. 第66号. 114-117 (2001)
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[Publications] 権藤 敦子: "わらべ歌の教材化に関する史的考察-坊田壽眞『日本郷土童謡名曲集』を中心に-"エリザベト音楽大学研究紀要. XXIII. 1-13 (2003)
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[Publications] Hermann Gottschewski: "歌の国日本"Musik in der Schule. 4. 46-51 (2001)
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[Publications] Hermann Gottschewski(共著者:Oshio Satomi小塩さとみ): "唱歌:日本の伝統器楽の実施方法における歌唱"Uben & Musizieren. 1. 24-29 (2002)
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[Publications] Hermann Gottschewski: "演奏に「日本の様式」はあるか-西洋のメロディーにおける「日本的なデクラマツィオーン」について"Christoph-Hellmut Mahling und Kiistina (Hrsg.): Pfarrv Aspekte historischer und systematischer Musikforschung (= Schriften zur Musikwissenschaft, hg. vom Musikwissen-schaftlichen Institut der Johannes Gutenberg-Universitaet Mainz). Band 8. 549-573 (2003)
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[Publications] Hermann Gottschewski: "保育唱歌と「君が代」のメロディ)"東洋音楽研究. 第68号ー(印刷中.
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[Publications] Hernann Gottschewski: "「ヨーロッパ、アメリカ、そして19世紀末の日本の「国楽」,paper for the International Congress in Shizuoka "Music and Globalization""(印刷中).
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[Publications] 奥 忍: "音楽学習のフロンティア(担当部分「民話をミュージカル化する-コミューケーション能力の育成」)"玉川大学出版部(印刷中).
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[Publications] 塚原康子: "ブラスバンドの社会史(担当:「軍楽隊と戦前の大衆音楽」)"青弓社. 248 (2001)
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[Publications] Hermann Gottschewski: "The Garland encyclopedia of world music vol.7 East Asia: China, Japan, and Korea.(担当部分:「日本における折衷の伝統:概観」(translated by.: Mark Georgiev))"Routledge. 1099 (2002)
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[Publications] Hermann Gottschewski(共編者:Hermann Danuser): "Amerikanismus/Americanism/ヴァイル.近代における文化的アイデンティティーの追及"Argus-Verlag. 335 (2003)
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[Publications] Hermann Gottschewski (共編者:MachikoGottschewski): "Musikalische Lyrik.担当部分:「詩と音楽-1920前後の日本の芸術歌曲」hg. von Hermann Danuser"Laaber-Verlag(印刷中).