2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13610075
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
高橋 雅治 旭川医科大学, 医学部, 教授 (80183060)
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Keywords | 時間割引 / 衝動性 / セルフコントロール / 光トポフラフィ / 近赤外線分光法 / 達成動機 / LOC / フラストレーション |
Research Abstract |
本年度は、まず、動機づけと時間割引の関係を分析するために、刺激欲求尺度、達成動機測定尺度、集団TAT検査という3つの動機づけ検査の結果と時間割引の関係を分析する実験が行われた。被験者は、本学の学生(医学科、看護学科)、および、放送大学の学生であった。 実験の結果、(1)被験者の母集団(医療系大学の学生と放送大学の学生)により割引率は異なり、放送大学の学生の方が割引率が有意に小さい、(2)刺激欲求傾向による割引率の差異は見られないが達成動機尺度(社会で高く評価される目標を立ててそれを高いレベルで達成したいという動機)とは僅かながら相関傾向が見られる、(3)報酬金額の効果は一貫して見られる、という知見が得られた。さらに、衝動性傾向と大脳皮質の血流量の関係を分析するために、報酬が連続的に与えられる低フラストレーション場面と、報酬が間欠的に与えられる高フラストレーション場面で、前頭葉の大脳皮質における血流量の変化を分析した。その結果、(4)後者の間欠強化場面の方が血流量が増える傾向が見られた。 さらに、本科研により4年間に渡って収集された1000人近いデータを双曲線モデルの割引指数や割引曲線下の面積等の複数の指標により総合的に再分析する統計的研究も行われた。その結果、前年度までの知見の一般性が確認された。 以上の結果から、行動や環境を自分で制御できると考えるほど、および、達成動機が高いほど、衝動性を示す可能性があることが示唆された。この知見は衝動性を制御する訓練の開発に今後役立つであろう。また、そのような衝動性の制御には前頭葉が関与していることが示唆された。これは、単純作業が実行されたら前頭葉血流量が増加する、という従来の知見と矛盾する。前頭葉は、フラストレーションを適切に制御しながら複雑な行為を実行する機能を司っているのであろう。
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Research Products
(3 results)