2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13610076
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
實森 正子 千葉大学, 文学部, 教授 (80127662)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
花田 光彦 千葉大学, 文学部, 助手 (80323385)
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Keywords | 比較認知 / 運動 / 記憶 / パターン認識 / ハト |
Research Abstract |
鳥類(ハト)における視覚的刺激特性の階層的結合について、3つの異なった観点からアプローチした。前年度まで「カテゴリー特性の機能的結合についての研究」に加えて、本年度は以下の2つの研究を行った。 1.記憶過程における運動情報と色・形情報との結合 行動に必要な情報を選択的に処理する能動的な記憶過程における特性結合を検討した。実験1では、垂直または水平方向に運動する色(赤または緑)と形(三角または四角)からなる複合刺激を呈示して、例えば垂直運動なら色次元、水平方向なら形次元での弁別が求められる課題を用いた。この課題では運動情報を用いることが必ずしも要求されないにもかかわらず、ハトは運動方向を手がかりとして複合刺激を弁別することが明らかにされた。実験2では、色と形の両方の記憶が要求される運動を欠如した静的刺激では記憶保持が運動刺激よりも低下することが示され、運動情報による選択的記憶保持が確認された。実験3では、運動情報を手がかりとして不必要な刺激次元の選択的忘却が起きることが明らかにされた。これらの結果から、2つの運動方向が色または形次元とそれぞれ結合して処理されることが明らかにされた。 2.画像認識における階層的特性 ハトは自然事物の写真のみならず漫画の登場人物もカテゴリー弁別することがよく知られている。コンピュータでさまざまに画像処理した刺激を用いて、漫画刺激に含まれる線や曲線などの微小な要素やジオン、顔や胴体などのまとまりとしてのコンポーネント、コンポーネントからなる全体など、階層的な視覚的手がかりをどのように用いてハトが複雑な漫画刺激をカテゴリー弁別するのかを検討した。その結果、背景の有無や局所的な刺激の多寡などで利用され易さは異なったが、ハトはこれら多様な階層的手がかりを用いてカブゴリー弁別していることが明らかになった。
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[Publications] Matsukawa A, Inoue, S., Jitsumori, M.: "Pigeon's recognition of cartoons : Effects of fragmentation, scrambling, and deletion of element"Behavioural Processes. (受理、発行予定).
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[Publications] 実森 正子: "動物の概念形成をめぐる記憶の問題"基礎心理学研究. 20・2. 164-168 (2002)