2003 Fiscal Year Annual Research Report
老化及び痴呆に伴う学習障害の背景となる脳内メカニズムの解明
Project/Area Number |
13610080
|
Research Institution | 福井医科大学 |
Principal Investigator |
吉田 和典 福井大学, 医学部, 助教授 (50143938)
|
Keywords | 海馬 / 老化 / 水迷路 / 場所学習 / 背側海馬 / 脳内神経機構 / 脳萎縮 / 記憶障害 |
Research Abstract |
本研究は、自然老化や痴呆に伴う学習・記憶障害と海馬を中心とした脳内神経機溝との関連を明らかにすることを目的としている。 本年度は、前年度に得られた老化ラット(24カ月齢)及び成熟ラット(12カ月齢及び18カ月齢)の水迷路による場所学習成績と海馬内の形態学的変容との関連を検討した。まず、場所学習の正確性を確認するためのプローベテスト(逃避のためのプラットホームを取り除く試行)において、プラットホームのあった4分割領域に滞留した統制群での平均時間を基準に、2SD(標準偏差の2倍)以上低い値を示した群を場所学習障害群、1SD以内の値を示した群を非障害群として分類した。次に、それぞれの群の吻側から尾側部のCA1,歯状回及び海馬の面積を4枚毎の脳切片(50μm)から計測し、海馬全体の容積を求めた。その結果、24カ月齢及び12カ月齢と18カ月齢の障害群において、海馬全体の容積に対する背側海馬の前部領域の容積比が有意に減少していることが判明した。従って、背側海馬の前部領域が12カ月齢頃より有意に萎縮し、そのことが空間認知能力、特に場所学習能力の低下を引き起こしていたことが明らかとなった。今後は、これらの領域の入出力系に関する形態学的変容について検討することが必要であろう。
|
Research Products
(2 results)