2003 Fiscal Year Annual Research Report
半側空間無視に与える汎性注意障害の影響-言語は運動制御に有効か-
Project/Area Number |
13610089
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
関 啓子 神戸大学, 医学部, 教授 (90154640)
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Keywords | 半側空間無視 / 汎性注意障害 / 言語 / 行動制御 |
Research Abstract |
本研究で対象としている汎性注意障害は方向性注意障害と並んで半側空間無視改善の阻害要因となり得るほどの障害である.本研究は汎性注意障害を示す半側空間無視患者が言語的手段により無視改善に至ることを目標として,この方法による行動制御の可否を検討するものである. 昨年度は第一の汎性注意障害課題を作成した.本課題において無視患者群は健常対照群に比して顕著な成績低下を示したが,言語的方略を外的に与えたところ急激な成績の上昇がみられた.したがって、無視患者は言語的手段によって自己の行動の制御が可能であることが明確に示された. 第一課題は本研究の意図にじゅうぶん合致するものであったが,言語を内的手段とするには不十分であった.無視患者は日常生活において常に周囲の人たちから教示を受けられるわけではなく,半側空間無視に起因する様々な問題を軽減するためには本人の自発的方略が必須だからである.そこで本年度はリハビリテーション場面を想定した第二の注意課題を作成して検討を進めた. 課題は一般的な半側空間無視の検査とされる抹消試験を基礎としている.上下部分に数字(最右端1から最左端16まで)を印刷した用紙を用い,まず数字の音読をもとめて注意の左方移動の可否を確認する.次に紙面に標的およびそれと類似した非標的が多数配置された刺激の中から標的の抹消を求める.自由な方法での抹消をベースラインとし,これと言語的手段を用いた場合の抹消数を比較した,本課題では行番号を音声表出することで言語性に現在地を確認でき,視線の跳躍が抑制された.万一視線の跳躍が生じた場合でも作業中の場所に戻ることができた.多くの患者はこの手法により抹消数の劇的な増加を示した.したがって,第二課題においても言語が無視患者の行動制御に有効であることが確認された.
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Research Products
(1 results)