2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13610090
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
坂田 省吾 広島大学, 総合科学部, 助教授 (50153888)
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Keywords | ラット / 時間弁別行動 / 脳波パターン / 間隔二等分法 / ピーク法 / 誘発電位 / P3成分 / 海馬θ波 |
Research Abstract |
本研究の目的は,ラットの時間弁別行動と脳波パターンの対応を検討することである.今年度は,その目的達成のために時間弁別学習を遂行している個体から同時に生理心理学的なデータを計測できるように実験計画を組んだ.ラットの時間弁別課題としては間隔二等分法,ピーク法,DRLL法等がある.それぞれ設定する時間が若干異なるが,間隔二等分法では2秒と8秒,ピーク法では30秒,DRLL法では4秒の設定時間で今年度はラットに学習を行わせた.どの方法,設定時間でも間題なく時間弁別課題の学習が成立した.現在,ラットの被験体数を増やして学習を継続中である.特に設定時間30秒でピーク法を用いたラットでは,刺激の時間的特性のひとつである刺激密度を50%で訓練し,明確なピークを形成させた後,20%と80%の刺激をプローブ刺激として挿入したところ,そのピークが刺激密度の影響を受けてシフトする行動的データが得られた.これは平成14年夏に開かれる国際比較心理学会で発表する予定である.一方,課題遂行中の脳波を同時計測してその脳波パターンを検討するために,まず使用している刺激により誘発される電位成分の検討を行った.音刺激の刺激頻度によって脳内各部位の誘発電位が異なり,さらにN1,P2の潜時も異なるので,その意味を明らかにするためにオドボール課題を用いてラットの事象関連電位を検討した.その成果の一部は今年度論文発表した.認知的判断を反映すると考えられるP3成分についても,今後データを多く集めて詳細に検討する予定である.また,時間弁別課題の場合には特に刺激のオンセット時よりもオフセット時からの処理が重要であることから,刺激オフセット後の事象関連電位のP3成分について焦点を絞りたい.今年収集したデータからは,時間弁別課題においては事象関連電位の差異が電位差として現れることが明らかとなり,次年度はここに焦点を絞って検討する方向性が示された.海馬部位からの海馬θ波についても,いくつかの興味あるデータが得られており,ピーク法による時間弁別学習の行動データと脳波データをさらに多く収集し,海外の研究者とも実り豊かな討論をしていく予定である.
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Research Products
(1 results)