2004 Fiscal Year Annual Research Report
子どもによる出来事の想起とコミュニケーション(I)-面接場面の分析-
Project/Area Number |
13610094
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
仲 真紀子 北海道大学, 大学院・文学研究科, 教授 (00172255)
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Keywords | 認知・発達心理学 / 裁判心理学 / 子どもの面接法 / 出来事の記憶 / 面接法ガイドライン / 想起 / 質問 / コミュニケーション |
Research Abstract |
本年度は本研究課題の最終年度である。14年度に作成した子どもの面接法のガイドライン案と15年度に作成したチェックリストをもとに,(1)現実の面接へのガイドラインの適用,(2)ガイドラインの公表と実務家の訓練,(3)今後の研究に向けての凖備を中心に活動した。年度開始時は大学生を対象にチェックリストを精選するための調査を行う予定を立てていたが,いくつかの現実の事例を扱う機会を得たため,そちらを優先して研究を進めた。 (1)現実場面への適用:(1)刑事事件における幼児への尋問(事例1:親がきょうだいに対して行ったとされる虐待についての面接),(2)刑事事件における知的障害者への面接(事例2:施設職員が行ったとされる虐待についての面接)をガイドラインおよびチェックリストに沿って分析した。また,(3)小学生に対する現実の捜査面接(事例3:他者から強制わいせつを受けた疑いについての面接)におけるガイドラインの使用を支援し,面接の評価を行なった。その結果,(1),(2)より,ガイドラインを用いない面接ではクローズ質問,誘導質問が多く,身体接触による促しなどの不適切な行為も見られること,ガイドラインを用いた(3)では誘導が少なく,自発的な報告の多い面接が行なえることが確認された。どの面接でも,導入部と詳細な情報を得るための手続き・方法が難しいことが示唆された。 (2)ガイドラインの公表と訓練:国内外での研究発表等の他,(1)子どもの面接法に関するガイドラインをまとめ,「刑事弁護」に公表した。このガイドラインは,法と心理学会による「刑事手続きにおける取調べのガイドライン」(準備中)にも含められる予定である。また,(2)法廷での専門家証言,家庭裁判所での研修,弁護士会での研修などを通じ,法関係者への啓蒙を行なった。今後受講者を対象に評価研究を行う予定であるが,特に子どもの語彙に関する問題の重要性が示唆された。 (3)今後の研究:(1)(2)を踏まえ面接導入部と語彙を中心とした研究を準備中である。
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Research Products
(7 results)