2002 Fiscal Year Annual Research Report
ソース・モニタリングを指標とした加齢による記憶衰退メカニズムの究明
Project/Area Number |
13610097
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Research Institution | Otsuma Women's University |
Principal Investigator |
金城 光 大妻女子大学, 社会情報学部, 講師 (00327298)
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Keywords | 記憶 / 老化 / 高齢者 |
Research Abstract |
平成14年度は、高齢者のソース・モニタリング能力衰退の原因として考えられている仮説の中で、側頭葉内側部機能低下説に関する実験を行った。この説では、高齢者は中心情報と共に周辺情報を同時に符号化する情報の結合能力(バインディング能力)に欠けているためにソース・モニタリングが上手くできないと考える。第1実験は、色、形、数を変化させた計27種類のカード刺激を用いて、パソコンを使用して行った。3種類の情報を統合する場合、若者に比べ高齢者は情報量の増加(覚えるカードの枚数の増加)につれて正答率が有意に下がり、かつ、反応時間も有意に増加することがわかった。第2実験では、情報統合の問題が、情報を覚える際の符号化時に問題があるのか、あるいは、情報を思い出す際の検索時に問題があるのか、あるいは、どちらの過程にも問題があるのかを調べている。あわせて、同実験では、高齢者の情報統合能力が訓練によって向上するのかを調べる(現在進行中)。4週間に渡って、週に1回同じ実験を繰り返し施行し、従属変数として高齢者の記憶成績、反応時間、符号化にかかる時間を測定している。 また、平成13年度行った2つの実験の結果(ある条件下では明らかに再認記憶よりも劣っていた場所に関するソース・モニタリング能力が、過去の学習と学習刺激を漢字から線画に変えることによって再認記憶と有意差がないまでに改善される)を2002年9月に第66回日本心理学会に発表した。
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Research Products
(1 results)