2003 Fiscal Year Annual Research Report
ソース・モニタリングを指標とした加齢による記憶衰退メカニズムの究明
Project/Area Number |
13610097
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Research Institution | Otsuma Women's University |
Principal Investigator |
金城 光 大妻女子大学, 社会情報学部, 講師 (00327298)
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Keywords | 記憶 / 老化 / 高齢者 / ソース・メモリ / ソース・モンタニング / メタ認知 |
Research Abstract |
平成15年度は、まず、昨年度末に行った実験データを分析した。高齢者のソース・モニタリング能力衰退の原因の一つに「情報結合能力の低下」が考えられる。実験では、まず高齢者の情報結合能力は若者に比べて劣っているのかを調べた上で、どのようにすれば高齢者の情報統合能力が向上するかを、記銘時間と訓練の観点から調査した。結果、1)若者に比べ高齢者は、記憶情報の増加に伴ない、正答率、反応時間、情報結合能力が低下する(日本認知心理学会で発表)、2)記銘時間を延長すると高齢者の記憶成績がある程度向上する、3)3週間の訓練によって高齢者の記憶成績はある程度向上する、4)記銘時間の延長と訓練を行っても情報量が多い場合は若者に比べ成績が落ちる、ということがわかった。実験と同時に行った注意力に関するスクリーニングテストと実験成績に強い相関関係が見られたことから、情報結合能力には注意力が関わっている可能性が示唆された。 そこで、高齢者の注意力と記憶力の関係、特に、高齢者のソース・メモリ(情報源の記憶)が、記憶の情報処理過程の中、記銘時、保持時、検索時のどの過程で注意の妨害による影響を最も強く受けるのかについて、二重課題を用いて実験を行った。データは現在分析中である。 さらに、ソース・メモリと再認記憶の記銘・検索時における脳の活動(特に前頭前野)をfMRIを用いて調べた。従来の知見ではエピソードを思い出す際に見られる前頭葉賦活の左右差と、刺激の違いによる(言語vs.非言語)賦活の左右差との関係が不明瞭で、一貫した結果が得られていないという問題があった。そこで、漢字と線画(言語vs.非言語)を刺激とした場所のソース・メモリと再認記憶について実験を行った。結果は、言語刺激ではLIFGが、線画ではRIFGが有意強く賦活しており、これが刺激特有の賦活、'エピソード記憶の検索には両刺激で賦活したLIFGが関係している可能性が示唆された(OHBMで発表)。
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Research Products
(1 results)