2004 Fiscal Year Annual Research Report
ソース・モニタリングを指標とした加齢による記憶衰退メカニズムの究明
Project/Area Number |
13610097
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Research Institution | Otsuma Women's University |
Principal Investigator |
金城 光 大妻女子大学, 社会情報学部, 助教授 (00327298)
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Keywords | 記憶 / 老化 / 高齢者 / ソース・メモリ / ソース・モニタリング / メタ認知 |
Research Abstract |
これまでの実験より、高齢者のソース・モニタリング能力衰退の原因の一つに「情報結合能力の低下」が挙げられ、結合能力と注意力との強い相関関係が示唆された。そこで、昨年度に引き続き、高齢者のソース・メモリ(情報源の記憶)が、記憶の情報処理過程の中、記銘時、保持時、検索時のどの過程で注意の妨害による影響を最も強く受けるのかについて、二重課題を用いた実験を高齢者と大学生を対象にした実験を行い、両年齢群の成績を比較した。また、先の二重課題の第2課題が、高齢者にとっては予想に反して非常に負荷の重い課題であることがわかった。そこで、第2の実験は第2課題の負荷が軽くなるような課題を課して、ソース・モニタリング能力と注意との関係についてさらに条件を変えて高齢者を被験者として実験した。結果、記憶成績については、両年齢群とも記憶過程の全ての段階に注意分割の影響が見られたが、特に、検索時に大きな影響が見られた。高齢者の成績は全般的に低いが、注意分割の影響の受け方に年齢による差はなかった。また、反応時間については両群ともに記憶課題の反応時間差が顕著に見られ、単独情報に比べて情報統合は検索処理時間という注意資源を必要とすることがわかった。ただし、高齢者の方が統合された情報の検索により長い時間を必要とすることから、検索時の注意分割の影響が若者よりも大きかった可能性が考えられる。これらの結果は、高齢者のソース・モニタリング能力衰退の原因は、「情報結合能力の低下」というより、厳密に言えば「統合情報検索能力の低下」の可能性を示唆するものであるが、現在より詳細なデータ分析を行っている。 最後に、机上でできる簡単なソース・モニタリング課題を2つ考案し、健常高齢者とアルツハイマー患者の成績を比較し、ソース・モニタリング課題が痴呆の早期発見に寄与できる可能性についての研究も行った。これは現在もデータ収集の途中である。 (798文字)
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Research Products
(1 results)