2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13610100
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
鈴木 直人 同志社大学, 文学部, 教授 (30094428)
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Keywords | 感情空間 / 次元説 / 基本感情説 / 交叉文化研究 / アレキシサイミア / しぐさ / 注意の瞬き |
Research Abstract |
表情や感情の認識が離散的になされるとする基本感情説と次元的になされるとする次元説との論争に対し筆者はこれまで次元説を支持する報告を行ってきた。今年度Japanese Psychological Research誌に発表したものは、次元説の立場から、時々刻々に変化する感情の構造が、日本とカナダで似ていることを、パーソナリティとの関係で示した交叉文化的研究である。健康心理学誌に掲載された論文は、不快を喚起する刺激に対するアレキシサイミア(失感情)傾向者の表情筋活動を中心とした精神生理学的反応の検討を行ったものである。その結果、アレキシサイミア傾向者の感情喚起刺激に対する自律反応には有意な違いは認められなかったが、表情筋の活動は健常者のそれと比べ有意に低く、主観的にも不快と感じられていなかったが、会の喚起刺激にはアレキシサイミア群と健常者グの間に差は認められなかった。AROMA RESEARCH誌に掲載した研究は、花王(株)香料研究所との共同研究で、香りにより誘発される気分を、次元説の立場から捕らえたものである。感情心理学研究誌の論文は、基本感情説、次元説のどちらもあまり対象にしてこなかったしぐさと感情状態との関係を検討したもので、いくつかのしぐさはある特定の感情状態と関係が見られたが、いわゆる基本感情のような離散的な感情とは関係が見られず、また、快-不快といった次元説で説明される感情状態とも異なっていた。最後に、Japanese Psychological Research誌に掲載された論文は、注意の瞬きと呼ばれる、現象をあつかったものである。注意の瞬き現象は、ある刺激を検出したとき、その後しばらくの間に呈示される刺激を認識できなくなると言う現象であるが、われわれの論文では不快な情動語を呈示すると、注意の瞬きが生じなくなることを実証した。その他に公刊した論文は、紀要であるので省略する。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Yik, M.S., Russell, J.A., Suzuki, N.: "Relating momentary affect to the five factor model of personality : A Japanese case."Japanese Psychological Research. 45. 80-93 (2003)
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[Publications] 馬場天信, 門地里絵, 佐藤 豪, 鈴木直人: "感情喚起刺激に対するアレキシサイミアの精神生理学的反応"健康心理学. 16. 21-30 (2003)
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[Publications] 鈴木武史, 引地 聡, 鈴木直人: "香りにより喚起される気分の評価尺度"AROMA RESEARCH. 4. 233-238 (2003)
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[Publications] 荒川 歩, 鈴木直人: "しぐさと感情の関係の探索的研究"感情心理学研究. 10. 56-64 (2003)
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[Publications] Ogawa, T., Suzuki, N.: "On the saliency of negative stimuli : Evidence from attentional blink."Japanese Psychological Research. 46. 20-30 (2004)
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[Publications] 敦賀麻理子, 鈴木直人: "「あがり」状態における心理的反応と生理的反応の関係"同志社心理. 50. 23-32 (2004)
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[Publications] 荒川 歩, 鈴木直人: "呼称と二者間の関係性の研究"同志社心理. 50. 14-21 (2004)