2002 Fiscal Year Annual Research Report
錯視図形を用いた左半側空間無視評価法についての研究
Project/Area Number |
13610107
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
小山 康正 財団法人東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所, 研究員 (20281678)
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Keywords | 半側空間無視 / 錯視 / 神経心理学 / 心理検査法 / 注意障害 |
Research Abstract |
前年度の研究成果を元に作成したWundt-Jastrow錯視図形を用い,左半側空間無視患者の反応と視線の動きをアイカメラで記録した.これまでの検討では患者が刺激図形の左側を無視しているという現象を捉えていたが,今回の検討により,患者が左側を見ておらず,感覚入力が欠落しているために無視症状を呈していることが示された.しかし,一方で,稀有な反応であるが,左側にまで注視点が達しているにもかかわらず無視症状を示す場合もあり,知覚判断の過程で何らかの歪みを生じている可能性も示唆された.本結果の一部は第26回日本失語症学会総会において発表を行った.また,この検討で,左半側空間無視患者の反応は多様であり,特に重症度による視空間認知能力の違いが結果に影響を与えていることが考えられた.そこで患者の重症度によって,異なる2つの課題を実施した.重症度が重度の患者については,線分の右端を固定し,左端の位置を変化させた二等分課題を実施し,二等分点の偏りと注視点の動きを観察した.その結果,重度の左半側空間無視患者では,線分の長さにかかわらず,線分の右端から一定の位置に二等分点を定めていることが示された.注視点の動きは錯視図形を用いた場合に類似し,二等分点よりも左方への探索は稀有であった.また,重症度が中等度から軽度の患者については,点の位置記憶課題を作成し,作業記憶や表象の影響についての考察を開始した.この課題は患者のイメージした刺激図形の位置あるいは大きさを直接評価できるものとして開発を行った.現在,健常者でも並行して検討を実施し,データの収集に当たっている.
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Research Products
(1 results)