2004 Fiscal Year Annual Research Report
錯視図形を用いた左半側空間無視評価法についての研究
Project/Area Number |
13610107
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization fur Medical Research |
Principal Investigator |
小山 康正 財団法人東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所, 研究員 (20281678)
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Keywords | 半側空間無視 / 錯視 / 神経心理学 / 心理検査法 / 視覚認知 |
Research Abstract |
前年度に引き続き,液晶ペンタブレット上で,左半側空間無視患者の固視点を統制した線分二等分課題を実施し,注視点の位置によって,線分の長さに錯視が生じている可能性について検討を行った.明らかな左半側空間無視を呈した患者12例に対し,後に呈示される200mmの線分の中点あるいはその左右50mmの位置のいずれか1点に固視点を呈示し,患者の注視を統制した.固視点の消去後,線分二等分させ,また何種類の長さの線分が呈示されたか口頭で報告をさせた.この結果,通常の線分二等分検査で特に強い右方偏位を示す患者および偏位が弱い患者を除き,固視点の呈示位置に関連して二等分点が変化し,患者の線分認知に錯視様の変容が生じていることが示唆された.この結果は第28回日本神経心理学会にて報告を行った. これまでの研究結果から,錯視図形を用いた左半側空間無視評価法で示される障害は,患者の不十分な左方探索を反映しており,他の検査で評価された重症度と一定の対応関係を持つことが明らかとなった.しかし,多様な患者像により,検査結果にゆらぎが生ずること,作業記憶そのものは保たれているにもかかわらず,イメージ内容そのものに変容が生じている可能性も示唆された.また,症例数は少ないが,病変部位に対応した検査結果の違いも示唆され,病変が後方に及ぶ場合,視覚認知そのものの変容が認められるため,錯視図形を用いることが困難であることを留意させる結果を得た.
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Research Products
(2 results)