Research Abstract |
前年度までに開発した,発達障害児(学習障害児,注意欠陥多動障害児,自閉症児,知的障害児)の認知・言語の獲得を促進するためのコンピュータ支援教育プログラムを,「刺激・反応等価性」の観点から体系化した。開発したプログラムについて,ブロードバンド・ネットワークを用いて,家庭や学校に配信し,双方向的な情報交換をもとに評価と指導を行った。 (1)小学校心身障害学級に在籍する10名の発達障害児(知的障害児,自閉症児,学習障害児)について,「読み」「書き」「理解」などの系統的評価と獲得を促進するための条件の検討を行った。その結果,子どもの教育的ニードは,以下の3つに類型化できた。(1)単語の意味理解,(2)音韻意識(文字と音との対応),(3)漢字の獲得。それらの評価の後,コンピュータ支援指導を行った。その結果,コンピュータ支援条件の方が,通常の教育条件に比べ,獲得された言語機能の「維持」に有効性をもつことが明らかになった。また,漢字の獲得において,運動反応が要求されない漢字構成要素の構成課題が,漢字の書字を促進することがわかった。 (2)養護学校に在籍する10名の発達障害生徒,ならびに3名の知的・運動障害生徒について,開発した指導プログラムを現場の教諭にネットワークによって提供し,指導を実施してもらい,以下の発達支援ステップが,認知・言語の獲得に有効であることがわかった。(1)絵-単語文字-音声の等価関係の獲得,(2)絵-文字配列による単語構成,(3)絵-単語配列による文章構成。特に,これまで,発達障害児では獲得が困難であるとされた音韻意識も,単語構成などの系列反応をコンピュータを用いて指導することで獲得された。また,短い時間でも毎日の一定時間の指導が,認知・言語の発達促進のためには,最も効果があることがわかった。
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