2002 Fiscal Year Annual Research Report
日中法意識国際比較調査データに対する多値型項目反応モデルによる分析
Project/Area Number |
13610126
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
野口 裕之 名古屋大学, 教育発達科学研究科, 教授 (60114815)
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Keywords | 国際比較調査 / 法意識 / 項目反応理論 / DIF分析 / Fスケール / 因子分析 / ランダム・サンプル / 性差 |
Research Abstract |
「法意識国際比較調査」の日本(1,250名)、中国(5,000名)、米国(1,000名)の無作為抽出標本に対する調査データに対して項目反応理論によるDIF分析を実施した。当初の計画では日本と中国のみを扱う予定であったが、その後米国調査データも利用することが可能になったため三国の間で国際比較を実施することにした。ただし、日本と中国は調査員による訪問調査であるのに対して米国は電話調査によっている。この調査の項目中に、アドルノ・T・Wが1950年に発表したパーソナリティ尺度の「Fスケール」から「『力』への志向度」を測定する5項目が含まれており、今回はこの5項目をDIF分析の対象とした。 まず、国別に因子分析を実施した結果、日本と米国は「一因子性が高く、類似した構造を示したが、中国は二因子に分かれ、その結果、日米と中国とで構造が異なり、DIF分析を実施することは意味がないことがわかった。 次に、日本と米国の間で項目反応理論にもとづくDIF分析を実施した。方法はThisen他のデザインを用い、計算機プログラムにはBILOG-MGを採用した。その結果、項目4および5が比較的近い値を示しているのに対して、項目2および3では困難度パラメタ推定値が大きく異なっている。もし仮に質問文の言語的なニュアンスが回答傾向に影響を与えているとするならば、項目2は日本では賛成しにくい、いわば「きつい」表現になっていると考えられ、項目3では逆になっていると考えられる。日本国内の男性-女性間では特にDIFは見られなかった。米国の場合は、日本の場合と比較して、項目3で項目パラメタ値が男性-女性間で異なっていること、項目5では困難度が日本-米国で男性-女性間で逆転している傾向が見られる。しかしながら、全体として日本-米国の国間に比べて男性-女性間では項目の機能に違いがないと言える。
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