2003 Fiscal Year Annual Research Report
マッカーサー乳幼児言語発達質問紙の開発と研究(II)
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13610135
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
小椋 たみ子 神戸大学, 文学部, 教授 (60031720)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
綿巻 徹 長崎シーボルト大学, 看護栄養学部, 教授 (70142172)
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Keywords | 言語・コミュニケーション発達検査 / 標準化 / 折れ線回帰モデル / 日米比較 / 名詞、動詞 |
Research Abstract |
1.「ことばと身ぶり」版8-18か月児1230名、「ことばと文法」版16-36ヶ月児2861名のデータから言語・コミュニケーションのレベルをパーセンタイル順位と発達月齢で評価する「日本語マッカーサー乳幼児言語発達質問紙」を開発し出版した(小椋・綿巻,2004;綿巻・小椋,2004)。 2.推定値算出において、ロジット変換を用いた解析モデルを検討した結果、男女別の推定値の月齢に伴う増加は、ロジット値における直線回帰モデルよりも、折れ線回帰モデルの方が適切であった(前田・稲葉・小椋・綿巻,2003)。「フレーズの理解」、「身振り」、「理解語彙」は、男女児とも15か月に、「表出語彙」は、男児では14か月と15か月に、女児は12か月と13か月に、折れ点が2箇所あった。「語と文法」版の「表出語彙」の折れ点は、男児が23か月に、女児が27か月に、「助詞」の折れ点は、男児が28か月に、女児が27か月に、「助動詞」の折れ点は、男児が34か月に、女児が29か月に、「文の複雑さ」の折れ点は、男女児とも29か月に、「最大文長」の折れ点は、男児が30か月に、女児が28か月にあり、これらの折れ点は言語発達における転換時期を示唆していた。 3.海外共同研究者のDale, P.S.から提供された米国版標準化データ(現在身振り版817名のみ分析)と日本語版標準化データから言語・コミュニケーションの日米比較を行なうと、身振り尺度の「最初のコミュニケーション身振り」以外の身振り尺度、語彙理解、語彙表出、フレーズの理解とも米国児の得点が有意に高かった。語彙の構成は、表出、理解とも日米とも普通名詞が総語彙に占める比率は動詞よりも高く、また、表出、理解とも普通名詞は語彙サイズにかかわらず、米国児で高かった。動詞については、表出は21語以上から、理解は100語以上から日本児が米国児よりも総理解語彙数に占める比率が高かった。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 前田美穂: "パーセンタイル値の推定を目的とした折れ線回帰分析のアルゴリズム-言語習得の発達過程の研究"神戸大学発達科学部研究紀要. 10・1. 103-108 (2003)
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[Publications] 稲葉太一: "言語習得の発達過程におけるパーセンタイル値の推定方法"日本行動計量学会第31回大会発表論文抄録集. 46-49 (2003)
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[Publications] 小椋たみ子: "日本語マッカーサー乳幼児言語発達質問紙の開発"日本発達心理学会第15回大会論文集. R33 (2004)
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[Publications] Ogura T.: "The use of baby words by Japanese children and their mothers in book-reading and toy-play contexts"The 5^<th> Annual Conference of the Japanese Society for Language Sciences. 23-28 (2003)
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[Publications] 綿巻徹: "終助詞「ね」と人・関係指向の会話-自閉症児の会話分析と座談会の会話分析から-"國文學. 48・12. 78-85 (2003)
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[Publications] 小椋たみ子: "日本語マッカーサー乳幼児言語発達質問紙「語と身振り」手引き"京都国際社会福祉センター. 59 (2004)
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[Publications] 綿巻徹: "日本語マッカーサー乳幼児言語発達質問紙「語と文法」版手引き"京都国際社会福祉センター. 80 (2004)