2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13610138
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Research Institution | Hyogo University of Teacher Education |
Principal Investigator |
宇野 宏幸 兵庫教育大学, 学校教育学部, 講師 (20211774)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松井 理直 神戸松蔭女子学院大学, 文学部, 助教授 (00273714)
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Keywords | 音声知覚 / 調音結合 / 音韻修復 / 発達 / フォルマント遷移 / 破裂音 |
Research Abstract |
調音結合の知覚発達に関する準備研究として、成人において連続発声された「母音-破裂音」の音響構造とそれに対する知覚様式をしらべた。破裂音/p/、/t/に時間的に先行する母音/a/のフォルマント遷移を抽出したところ、/p/が後続する場合にはその末端部でF1周波数が低下したがF2、F3周波数の変化はなかった。/t/が後続する場合は、/p/と同様なF1周波数の下降に加えてF2周波数の上昇が存在した。F3周波数の変化は、/p/と同様に認められなかった。したがって、後続する/p/、/t/を区別するための先行母音/a/の調音結合の特徴は、末端部におけるF2周波数の変化にあることが示唆された。 先行母音の音響的弁別特徴が、実際にヒトの音韻知覚に貢献しているかどうか確かめるために音韻修復現象を利用した実験をおこなった。このために、「母音-破裂音」中の破裂時点から100msを帯域雑音に置き換えて、破裂音の音響的弁別特徴を除去した。その結果、雑音置換した破裂音のみの提示では、同定率がチャンスレベルまで減少したが、これに本来先行する母音を付加すると、同定率は正常な「母音-破裂音」に近い水準まで回復することがわかった。さらに、先行母音の末端部を雑音置換して同様な実験をおこなったところ、先行母音が後続することによって子音部の知覚を促進する効果が消失した。これらの結果から、後続する破裂音の知覚に際して、先行する母音末端部のフォルマント周波数変化すなわち調音結合に関する情報が寄与していることが支持された。
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