2001 Fiscal Year Annual Research Report
子どもにおける逸脱行動・向社会的行動に対する認知と親の価値の継承
Project/Area Number |
13610139
|
Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
村瀬 俊樹 島根大学, 法文学部, 助教授 (70210036)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高井 直美 京都ノートルダム女子大学, 人間文化学部, 助教授 (20268501)
高井 弘弥 島根大学, 教育学部, 助教授 (80290427)
|
Keywords | 逸脱行動 / 向社会的行動 / 気持ち / 反省 / guilt / shame / 価値継承 / 児童期 |
Research Abstract |
行動後に反省しているかどうかに関する情報、意思決定時に向社会的判断をしているかどうかに関する情報が、対人認知に及ぼす影響を、小学3年生・5年生・大学生を被験者として検討した。その結果、行動後に反省しているという情報が人物の評価を高めることはいずれの年齢においても認められた。意思決定時に向社会的判断をしているという情報は大学生においてのみ人物の評価を高めていたがその効果は反省情報よりも小さかった。これらの結果から、対人認知における反省に関する情報の重要性が児童期中期から認められることが示唆された。 Guilt感情やShame感情についでは、本年度は逸脱行動に関する認知の発達を検討した。逸脱行動後の謝罪などの向社会的行動の生起が、逸脱者が抱く自己意識感情によって影響を受けるかどうかの理解について、幼児から成人までの間で比較した。先行研究から得られた知見によれば、逸脱者がguilt感情を持った場合は逸脱行動を補償する行動をとると推測するが、Shame感情を抱いた場合はその場から逃避するなどの非社会的行動をとると推測することになる。本年度の研究結果からは、このような理解の分化は、児童期後半(小学校高学年)から青年期にかけて進んでいくことが示唆された。 価値継承については、小学5年生と大学生を対象に、例話の主人公の行動を予測させる実験を行い、親がある価値に基づく行動を行うように子どもに言う場合、態度で示す場合、何もしない場合で、それぞれ子どもがその価値に基づく行動を行うようになるかについで推測させた。その結果、5年生も大学生も親の言動が子どもの価値の形成に影響すると考えることがわかったが、特に女子5年生と女子大生において、いくつかの例話では親が話すよりも態度で示す方が子どもの行動に影響を与えると考える傾向があることがわかり、男女の社会的認識の違いが示唆された。
|